夫は人嫌いが嫌い、いや人付き合いが嫌いだが
自然は好きなようだ。
育てた草花の蕾が膨らめば、目を細め
咲き乱れれば、目を輝かす。
作物が実ればすくすく育っていることに
喜びを感じる。
星空を仰げば、これが北斗星、
あれが北斗七星、あそこにあるのは
カシオピア座だのと、私を呼んで星を指差す。
青い空に白く聳え立つ立山連峰を見て
その美しさに目を見開く。
動物もそうかもしれない。
幼い頃、犬を飼い、コロという名前をつけ
可愛がったという。
一方私ときたら、観葉植物を枯らす人間。
蕾が芽吹いたのにも気づかず
花の名前もよく知らない。
この花の名前は?と聞かれれば
花と答えるしかない。
作物が実れば、収穫したものを食べるのは
好きだが、成長には興味がない。
星にいたっては、
あれがナントカ星と言われても
空に線引きされていないことにはわからない。
動物は、小さい時から飼ったことがなく
いまでも恐る恐る触る。
こうしてみると
夫の方が愛情深く
私は非情なのかもしれない。
ふるさとの山、立山を見て
心が洗われそうと思うことが
せめてものの救いだ。