私には、ウォーキングの会で知り合った
一回り年下の友人がいる。
20年くらい付き合って、気がおけなく
親友の一人でもある。
そんな彼女が血相を変えて
私に電話をかけてきた。
「父にガン宣告が下された。
しかも余命半年と告げられた」と。
私は彼女にそう嘆かれても
あまり驚かなかった。
自分がガン患者であったこともあったが
そんなことより、ガンと言われたなら
それを受けとめ、付き合えばいいじゃないか❗
と虚勢ではなく、素直にそう思い
彼女に淡々と伝えた。
私がガン患者だったことや親友だったことが
彼女の心に響いたらしく
涙ながらも、言葉の調子が
少し明るくなっていた。
もちろん、私も無責任に
言ったつもりはない。
ガンは自分の体の中にでき
自分が作ったものだ。
だからその新生物と戦うのではなく
つきあうしかないと思っている。
その考えは、あの炭焼きおじさんから
学んだ。
そんな思いで、彼女にも言ったのだ。
彼女に粉末の竹炭と竹酢を渡し
すでに入院しているお父さんに
私なりのエネルギーワークを行った。
そうすると、お父さんの優しいオーラが
私の中に届き、なぜか涙が溢れてきた。
しばらくして
彼女は、お父さんを伴って
我が家に訪れた。
なんと症状がよくなり
退院することになったということで
わざわざ、私にあいさつに来て
くれたのだった。
これには、私自身が驚いた。
お父さんの、生命エネルギーに
スイッチが入ったのだと感じた。
そのことが自分のことのように嬉しかった。
しかし、生命力は持続しなかった。
いつしかお父さんに危篤を知らされたと
連絡が入った。
私はすぐに駆け付け、ベッドに横たわる
お父さんに会った。
思いの外、お父さんは、穏やかな表情て
静かに私に微笑みを返してくれた。
その顔をみて、どこか神々しいものを感じた。
私は目を閉じ
お父さんのエネルギーを受けとめ
そばに寄り添う彼女と彼女のお母さんの
エネルギーが部屋全体に漂い
それらが融合し、私を包んでいた。
ある種の感動が私の中から溢れた。
それから、私は病院を後にし
家に戻ってからもその静謐な気分が続き
とても安らかな気持ちになった。
それから二日後
お父さんが亡くなったと伝えられた。
私が訪れた後、お父さんは急に元気になり
何も食べられなくなっていたのに
美味しくジュースを飲んだと当時を述懐した。
臨終も苦しむこともなく
とても穏やかな表情で逝ったと伝えてくれた。
お父さんは、天に召されたのだ。
いまでも、私の心の中に
彼女のお父さんの神々しいお顔は
焼き付いている。
きっと、いまもお父さんの
高貴なエネルギーが
住み着いているに違いない。
次回につづく。