母は、雛人形を飾るのが好きだった。
雛壇を組み立て、赤い毯繊をかけ
平等院を模した御殿を作り、
上段からお雛様、お内裏様、
左大臣、右大臣と並べていく。
私はそんな母の姿を見るのが好きだった。
母のひな飾りは、私が大人になり、
雛壇を組み立て、赤い毯繊をかけ
平等院を模した御殿を作り、
上段からお雛様、お内裏様、
左大臣、右大臣と並べていく。
私はそんな母の姿を見るのが好きだった。
母のひな飾りは、私が大人になり、
結婚しても続いた。
年老いてゆく母のひな飾りは
だんだんそのスピードは遅くなっていった。
私は「もう、やめる?」と言うと
きっぱり「続ける」と言う。
私も手伝うことにした。
一緒に行うと、母のすることが遅い❗
イライラする私は、母を急かす。
母は、それに戸惑い、
「もういい❗自分でする‼」と言い
ちまちま、ゆっくりひとりで作っていく。
ようやく出来上がると、
目を細め、喜んだ。
雛人形を飾るのが、あんなに好きだった母も
いつしか飾らなくなった。
いまでも、ひな祭りの日が近づくと
黙々と雛人形を飾っている母の姿を思い出す。