※気持ちが不安定な方は読むのを避け、落ち着いた際に読まれてください。









精神科患者さんには、大量服薬、過量服薬を行う患者さんがそこそこいます。


全員が死にたい、という気持ちから行うのではなく、


きつい気持ちがつよくなり、頓服薬を飲みすぎた

眠れないのがきつくて睡眠薬を飲みすぎた

という方から


自分を傷つけたくなったから飲んだけど死ぬつもりは無かった、という方


死にたい、と思い飲む方


他にも、認知症などで、適正量がわからなくなった方や、飲んだことを忘れて何回も飲んでしまったという方など、実は理由は様々です。


ただ、

死にたいという理由ではなく飲んだ方が比較的少量で、死にたかった方が比較的大量に飲まれるかと言うとそうではありません。


死にたいわけではなくとも致死量に近く飲まれる方もいますし、死にたかった方が、医療者から見ると少量しか飲んでない事もあります。


ですので、どういうつもりで飲んだのか

どのくらいの量何を飲んだのか、というのはきちんと聴取が必要で、

気持ちだけで今後のリスクをはかることも、飲んだ量だけでリスクをはかることも出来ません。





大量服薬、過量服薬の類を

私達はOD(オーバードーズ)と呼びますが、=自殺企図という意味ではありません。



ODで運ばれてきた患者さんは

飲んだ薬の種類と、量を確認されます。

それが明瞭で、経過を見れる種類、量の場合は、何も処置がないか点滴治療で成分を早く体外へ排出するよう促されます。

薬の内容によっては採血等、その他の検査、治療が追加になるため一概ではありません。



量が多い、注意が必要な内容だった場合には

胃洗浄や、中和剤が必要なものは中和剤が投与される事が多いように感じます。

中には集中治療室へ入院となる場合もあります。



この胃洗浄を受けた患者さんは一様に、とてもきつかった、もう二度としたくない、と言われ

中和剤も私が出会ったものは激臭なうえに、薬価もとっても高く、患者さんいわく信じられないくらい不味いそうで、

中和剤を飲むのがODの割に合わないくらい苦痛だ、もう二度としないと言われていました。




実を言うと、精神科の薬は比較的安全なものも多く、致死量という言い方をすると数百錠となるお薬も結構あります。



もちろん、ODの危険性のある患者さんには全体的に危険の少ないお薬が選択されています。

されてないといけないと思います。



だからといって命を落とす可能性がないわけではないです。

致死量で無くとも、様々な要因が重なり、結果的に亡くなってしまったという方もいます。


死ぬつもりは無い方も、繰り返せばどんどん量だけが増えていく方もいます。

死のうとした、死ぬつもりは無かった、関係なく危険性があることは間違いありません。




そして、ODの副作用って、命の危険だけじゃないんですよね。

お薬をたくさん飲めば、その分もちろん、肝臓腎臓に負担がかかっていきます。

胃にも影響が出ます。

お薬によっては内分泌系に悪さをしちゃうやつもあります。

眠ってしまって、全く動けず、褥瘡を作ってしまったり。

そうすると、二次的な治療の必要性、生活の制限にも繋がってしまいます。



ODってそもそも切迫しているから行うのであって、その時点ではもろもろの副作用を考えるなんて難しいのはわかっています。

ですが、死ぬつもりは無かったODの後(繰り返す方も多いので徐々に)、これらの副作用が身体を苦しめ、死にたい気持ちへと変化してしまう方もいるのです。



気持ちが安定している時に、こういうリスクがあるということ簡単にでしたが、少しでも知っておいてほしいと思います。