1.始まりの白い本
■ 所要時間
15〜20分程度
■ 登場人物 ※< >内は台詞数
< 27 >イスラ:♂/不問でも可
少し馬鹿だが、頭の回転は悪くない。時折暑い、暑苦しい。作者が名前を良く打ち間違える。めげずに頑張れ!
< 20 >フェリエル:不問
イスラの扱い方を知っている良いストッパー。頭は回転も含め良い部類。愛称は、フェル。
< 12 >リーアシャルテ:♀
気さくなお嬢さま。ちょっとお転婆。愛称はリリィだったりする。
< 10 >ルイスフォード:♂
リリィの護衛役の騎士。口調は丁寧、人柄も穏やか。名前をフルで呼ばれる事がない、いつもルイ。だって長いもの。
< 6 >爺:♂
何だか抜け目の無い爺さん。御者なのか従者なのか。呼び方は、じい。果たして本名を出す機会は…。
< 7 >N:不問
ナレーション。のくせに名前がある。ちなみに名前はカリア、物語の案内人。
・その他の奴ら
< 2 >モブ1:不問
< 3 >モブ2:♂
説明、いる?イイ噛ませ犬、以上。
■ 配役表(3:1:2)
イスラ(♂):
フェル(不):
リリィ(♀):
ルイ(♂):
爺/モ2(♂):
N/モ1(不):
※(小声)はガッツリ小声じゃなくていいです。
他台詞より少し声を抑える程度で。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 本 編 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
N「ここは、とある世界で名の知られた図書館。当館は世界一の蔵書数を自負しております。稀に聞く噂話では、1千万を超える書架の中に時折、不思議なものも紛れ込んでいるようでして………。」
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イスラ「あ"〜、今日もあっついな…。こう暑いと勉強する気にもなんないっての。しかもよりにもよって文献調査とか…ツイてなさすぎ。」
フェル「キミは元からしないじゃないか。それに、別に資料を読み解いてもらおうなんて思ってないよ、そんなことを期待するだけ無駄って知ってるし。
キミに今回頼みたいのは資料運び、つまり力仕事。」
イスラ「…お前それ、遠回しにバカって言ってないか?」
フェル「いーや、別に?得意不得意を元に、役割分担をしようってだけの話だよ。」
イスラ「はぁ…まぁいいや。で、何がいんの?」
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イスラ「よっ…と、これで8冊目か。そろそろ持って行くかな。
(本の落ちる音)
ん…なんだこれ、表紙が真っ白な本?面白そうだな、暇つぶしに読んでみるか。」
フェル「あぁおかえり、順調に見つかったみたいで何よりだよ。そこに置いといてもらえる?」
イスラ「はいはい、人遣いの荒いことで…っと。
しっかしまた随分とメンドそうなの調べるのな。"古き伝承に隠された真実" 、 "なぜ、古代文明は滅びたのか" 、 "世界の伝承と怪談" 、 "昔話1000集" ……頭痛くなってきた。」
フェル「この世界には多くの伝承や昔話があるじゃん?現実に有り得そうなことから、龍や、人知を超えた力なんて突拍子もないものまで。そういうの紐解いたら面白いんじゃないかと思ってさ。」
イスラ「相変わらず変わってるっつーか、物好きっつーか…。」
フェル「なんだかんだそれに付き合ってくれるキミに、そっくりそのままお返しするよ。」
イスラ「まぁお前といると飽きないしな。…さて俺も暇つぶしに読むか、面白そーなの見っけたし!」
フェル「へぇ、キミが進んで本読むなんて珍しい…それに、表紙が真っ白?どんな話なんだろう。」
イスラ「やっぱ気になるよな。えーっと、なになに……
──数多ある本の1ページに綴られた
目覚めを待つ、とある世界の物語──
残りは白紙?なんだこの本…」
フェル「うーん…その一文もだけど、表紙も中身も白いなんて本当に不思議な本だね。……あれ、この裏表紙に描かれてるのは…魔法陣?装飾の一部かな。」
N「フェリエルがその魔法陣を、つい と指でなぞる。あまりにも不用心に、何気なく。彼らが手にしたその1冊は、当館に存在する不思議なものの1つ…。
申し遅れました。私、メラヴィリエ図書館の案内人、カリアと申します。………おや、彼らの姿が消えてしまったようですね。さてさて、今回はどんな物語になることやら。」
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フェル「うぅ…ん。ここは……森、なのかな。なんでこんな所に…あ、イスラは?!
……居た!おいっ、起きなよ、イスラ!」
イスラ「うるっせーなぁ…フェル。せっかく気持ちよく寝てんのに……って、はぁ?ここ何処だよ。」
フェル「分かんない、僕も目が覚めたら此処だったんだ。確か図書館でキミが持ってきた本を読んでて…。」
イスラ「あぁ、あの真っ白な本な。」
フェル「そう、それ。」
イスラ「最初の1ページしか書かれてなかったよな?あとは…最後のページの魔法陣か。」
フェル「その魔法陣を僕が触ったんだよね。そしたら光りだして……気づいたら此処だった、で合ってるかな?」
イスラ「俺も同じ所で記憶が途切れてんな…。一体何が起こったんだ?」
フェル「何か変な事に巻き込まれてる気はするけど………」
リリィ「キャ────ッ」
フェル「…ッ?! 悲鳴、どこからっ」
イスラ「フェル!こっちだ!」
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N「2人が駆け付けた先では、くたびれた服装をした者達が5・6人程、どうやら馬車を取り囲み声を荒らげているようですねぇ。馬車の前には中老の男性と、豪奢な衣装を纏った少女。軍服のような格好をした青年が剣を構え、2人を庇い立っております。」
フェル「あれは…馬車?」
イスラ「おいっ、どうすんだよ、人が襲われてるぞ!」
フェル「しー!静かに……どうやら彼らは皆、武器を持っているみたいだ。今、僕達が丸腰で飛び出した所で、返り討ちに遭うだけだろうね。」
イスラ「ならどうするんだよ、このまま見過ごすのか?」
フェル「彼らの実力が掴めない、剣士はそれなりに出来そうだけど。取り敢えずは様子見。……でも出れるようにはしておいて。不意を付けば隙を作るくらいはできるでしょ。」
イスラ「分かった、すぐ動けるようにしておくさ。」
モ1「……で、どうすんだい、兄さんよぉ?女と積み荷を渡すか、ここで死ぬか、好きな方を選びなぁ!!」
モ2「ぐへへ、見れば見るほどいい女じゃねぇか」
リリィ「ひぃっ!?」
ルイ「その方に近づくな賊め。それに、選択肢が1つ足りないのではないですか?」
モ2「はぁ?何言ってんだお前」
ルイ「足りないと言っているのです……貴様らを倒して屋敷に帰るという選択肢が!はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
爺「(小声) お嬢様、ペンダントを……。結界を張れば賊どもは近付けませぬ故。」
リリィ「(小声) は、はいっ! " 我を守りし安寧の地、ここに顕現せよ " 」
ルイ「(結界を張りましたね…。あれは一定時間貼り続けると屋敷に連絡が行くようになっているはず。…くっ、こいつら思った以上に……いえ、時間さえ稼げればそれでいい!)
どうしたのです!大口を叩いてた割にこの程度なのでs……ぐぅっ」
リリィ「ルイっ!!」
爺「ルイ殿!この人数では流石のルイ殿も……」
N「さてさて、最終的にイスラとフェリエルは襲われていた3人組を手助けする事にしたみたいですねぇ。あぁ、彼等にも多少なり武術の心得はあるようで………。」
イスラ「うぉぉぉぉぉぉっ!」
モ2「がはっ」
フェル「イスラ!右斜め後方、5歩後退っ」
イスラ「おう!」
ルイ「助太刀感謝します!喰らいなさい、閃(せん)っ!」
モ1「ぐぁっ……く、クソ!増援が来るなんて聞いてないぞっ、撤退だ!!」
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ルイ「…ふぅ、助かりました。正直1人では手に余るところでしたので。」
イスラ「そんな事ないだろ、お前強かったぜ!ほとんど1人で倒しちまったじゃねーか。」
フェル「はぁ…馬鹿、もう少し言葉遣いに気をつけなよ。仮にも初対面だろう?僕達。」
リリィ「ルイ、大丈夫っ?手当するから怪我を見せて!」
ルイ「ありがとうございます、お嬢様。お手を煩(わずら)わせて申し訳有りません。」
リリィ「これくらい別に構わないわ、慣れてるもの。
…助けてくれてありがとう。私はリーアシャルテ。彼は私の護衛なの。」
ルイ「ルイスフォードと申します。改めて御二方に感謝を。」
N「フェリエルの言葉に続いて少女が挨拶を、自己紹介は大切ですから。くくっ、それにしても彼らに続いて護衛の騎士にお嬢様……さてさて、登場人物も増えてきましたねぇ。おっと、失礼。この場にはもう1人いましたね。」
爺「お嬢様、ルイ殿、この様な所で立ち話というのも如何かと…。お屋敷にご招待してはどうですかな?」
リリィ「それもそうね!ありがとう爺。……という訳で、家に招待したいのだけれど、どうかしら?ぜひお礼をさせて欲しいの。」
イスラ「(小声) おい、どうすんだ?付いていくのか?」
フェル「(小声) うん、そうすれば街に入れるし、道中、話も聞けると思うんだ。なにより、僕達は今いる場所について何も知らない。彼らの様相を見る限り、元いた場所に近いとも限らないからね。」
イスラ「(小声) あー……確かに。
よし!その招待受けさせてもらうぜ!フェルもそれでいいよな?」
フェル「うん構わないよ、折角のご好意には甘えなくては。僕はフェリエル。彼はイスラ。改めて、宜しくお願いするよ。」
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N「かくして2人は助けた少女の家に向かうことになったのです。道中フェリエルが機転を利かせて、自分達が旅を始めたばかりである事。その途中で道に迷い、此処がどこか分からない事などの説明を。
いやはや本当に賢い、よくもまぁここまでスラスラと出てくるものですねぇ。そして…」
イスラ「ウェステリア共和国……?」
リリィ「えぇ、その首都ストラフォールに私は住んでいるの。自然豊かで商業が盛んなのよ。きっと貴方達も気に入ると思う!」
ルイ「本当にいい街です。料理も美味しく、気候も温暖。ノリの良い方々が多く、大小はあるものの頻繁にお祭りのような事が行われています。
お陰様で私も休暇の日に退屈せずに済みますね。」
フェル「(僕の記憶している限り、そんな国も街も聞いたことがないな…。) なるほど、それは滞在中に飽きることがなくて良さそうだね。
……ところで、少々手持ちが心許ないのと、今後の為にもう少し調べたい事があるんだ。良ければ僕達でも路銀を稼げそうな所と、図書館のような場所があれば案内をお願い出来ないだろうか?」
爺「それならば、お屋敷の書庫をお使いになるのが良かろう。幅広く取り揃えておるから、必要な情報が見付かるだろうて。」
リリィ「ついでに泊まって行ってはどうかしら。その様子だと宿も手配していないのでしょう?宿代も勿体無いし…。」
イスラ「いや、そこまで世話ンなる訳には…」
ルイ「(被せて)良い案ですね。命の恩人でもあるのですから、きっと旦那様もお許し下さるでしょう。」
爺「ふむ…お屋敷に泊まってもらえるのであれば、一々本を読みに来る手間も省けますしのう。儂もお嬢様の案は中々に良いものであると思いますぞ。」
リリィ「そうね、そうしましょう!ふふっ、お客様が泊まるなんて久し振りだから楽しみだわ♪」
フェル「ふぅ…口を挟む間も無かったね。けれど泊めてもらえるなら有難いな。
(小声) ちょっと、気になる事があるんだ。もしかすると此処は………。」
イスラ「はっ?!冗談だろ?いくらなんでも…」
フェル「(小声/被せて) 馬鹿、声が大きい!」
リリィ「どうかしたの?」
イスラ「い、いや…なんでもねぇよ、大丈夫だ。」
リリィ「……?そう。」
フェル「(小声) ったく……いいかい?これはあくまで現時点での僕の憶測だ。調べてみないと何とも言えないけど、そういう可能性が有るって事だけ頭に入れておいて欲しい。」
イスラ「(小声) わかった、お前がそう言うってことはある程度の思い当たる事があるって事だろ?やりたい事があるってんなら俺はそれに付き合うだけだ。」
フェル「(小声) …本当にキミは変わらないね。
さて、と…ルイ、さん?街までどれ位掛かるのかな。」
ルイ「ふむ、そう遠くはないはずですが……爺?」
爺「そうだのう…ここまで来ればあと20分といったところか。また近くなれば声を掛ける、それまで寛いでおるといい。」
フェル「ありがとう、助かります。…ほら、ゆっくりしよう、イスラ。なんだかんだ慌しかったからね。」
イスラ「そうだな、ようやく一息つけるって訳か。」
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N「ふむ、今回のお話はここまでのようですねぇ。如何だったでしょうか?まだまだ物語は始まったばかり。フェリエルの気付いた事には勿論の事、2人の今後も楽しみです。
…さぁて、私も一息つくとしましょう。美味しい紅茶とケーキの差し入れを貰いましてね。それでは皆様、また次回、本の開く時にお会い致しましょう。」
To be continued...
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完成日 2017年6月18日