「すいません、○○病院までお願いできますかー?」
「はい、いいですよ〜(^0_0^)」
検査予約時間12分前に実家を出た私は病院方向へ歩きつつ途中でタクシーを拾った。
あと5分!よし!これなら間に合う!
「あの病院ねェ、移転してからタクシーの事、邪険に扱うんですよ。」
ほっとしたところに、運転手さんが面白い事を言い出した。
病院がタクシーを邪険に扱う様子を頑張って想像してみたが、うまく想像できない。
私が開院当初から通うその病院は一年半くらい前に立て替えて、
少々場所が駅から遠くなったけれど素晴らしく快適な病院になっていた。 少なくとも中身は。
「えー!?そうなんですか?」
「新病院になってから、タクシー用のレーンがないんですよ。移転前はタクシー乗り場ちゃんとあったでしょ。」
確かに移転前の旧病院の時は、タクシー乗り場があって夜中でもタクシーが何台も待機していた。
「・・・そういえばないですね・・・、送迎バスが正面を陣取っていますよね。」
「そうなんです、それなんです、送迎バスの運転手達の態度ばっかり大きくて。タクシーは邪魔だって感じなんです!」
ほほう。病院の外側にはそんな事情があったんだ。
きっと病院側からしてみれば、患者さんがなるべく交通費をかけずに病院へ来れるように、無料送迎バスを充実させたのだろうなー。
「仲間内じゃあ、あれは設計ミスだってみんな言ってますよ。みかけばっかりホテルみたいに綺麗だけど車の経路の事全然考えないで造ったって。」
「ふむふむ。タクシーが待機できないのは困りますねェ。」
「移転前は救急車用の入口だって別にあったでしょ?」
「はい、ありましたね。え?今無いんですか?」
「今は一般車もバスもタクシーも救急車だって全部同じところから入るんですよ。」
「そうかあ、言われてみれば確かにそんな気が…。」
「一般車の駐車場が満車の時なんて、渋滞してて救急車が通れないんですよ。あれはヒドすぎます。」
「え〜、救急車が進めない???」
「そうですよ、なんで救急入口を別にしなかったんだろうって、それもみんな言ってます。きっと設計したのがホテル専門の設計士だったんでしょうね。建物は立派で吹き抜けなんてどーんと作っちゃって凄いのかもしれませんがね。あれは完全にミスですね。」
「なるほど〜。」
吹き抜けはどっちでもいいけど、ローソンとドトールが'入ってる事が私にはとても便利♪
「だいたい、あれだけの大病院だったら、タクシーのレーンが他の病院なら必ずあるのにそれを造らなかったんですよ。設計士がわからなかったんでしょうね。」
「うんうん、大きな病院はタクシーが普通沢山待っていますもんね。」
「待つところないから、みんな歩道とか病院の外の車道で待つしかないんですよ。」
「あ〜あ〜、手前のガードレール沿いに沢山並んで待ってますね。」
「おかしいですよ、なんでちゃんと考えて設計しなかったんだろう。せめて救急だけでも別にするべきだったんですよね。」
「救急車も大変ですね。近隣に来たらサイレン止めなくちゃならないのもあるし…。」
地域の住民が救急車の音に対して大反対したので、
この病院に向かう救急車は手前の信号からはサイレンを鳴らさず静かに急いで緊急患者さんを運ばなくてはいけない。
「そうそう、近くに来たらサイレンを鳴らさないって事で住民と和解したんですよ。」
「もし自分の家族が救急で向かっていて、サイレン切って救急車が渋滞にはまったらどんな気持ちがするでしょうね。」
と、言いつつ、間違いなくかなりイライラするだろうな、と思った。
「何にしても、建物ばっかりホテルみたいに作っちゃって、タクシー乗り場を作らなかったのは絶対ミスです。」
「わかりました!今度、病院がアンケートとる時それ書いておきますネ。」
「あーアンケート〜!いいですね〜!是非書いておいて下さい。困るって。」
「患者さんだってバスを使って駅に向かう人ばかりではないし、タクシーに乗って来たい人とか帰りたい人は沢山いると思います。」
・・・と、まだまだ会話は続いていたのだけれど、そこら辺で病院到着。
「ねっ、ほらね。 歩道。」
運転手さん満面の微笑(^ε^)
「あ、ほんとだ(-_-;)」
病院の敷地内に歩道として確保されている、レンガの敷石の通路の上に、
まさにタクシーが肩身狭そうにずらっと待機していた。