生検とは。。。
「生体検査」の略で、生きた体を検査するという意味らしい。
(私はてっきり「生物検査」の略だと思っていた。)
この検査は患部の一部を切り取って顕微鏡などで詳しく調べて、
病気がどこにどんな状態であるか診断するための検査みたい。
がん患者の場合は生検をしたうえで、それががんであるかを確定する。
 
2011年1月24日初診日。その日2つ目の検査。
エコー室に呼ばれ、再び上半身の衣服を脱ぎバスタオルをかけてベッドに横になる。
先程エコーを撮った時とは違い、エコー検査士のお姉さんの他に年配の看護婦さんらもいる。
年配の看護婦さんが何やら新品の大きなドライバーのようなものを持ってきて開封して私に見せた。
「これから先生が来て検査してくれますからね。もう少しお待ちくださいね。」
妙に優しい。
「これ(その大きなドライバーみたいの)を刺しますが、少ししたらバッチンってちょっと大きな音がしますからね。」
「ちょっとびっくりするかもしれないけれど、大丈夫ですからね。」
いいえ、大きな音がするかどうかよりそんな大きなドライバーのような器具を刺されることにビックリしてますから大丈夫です(^_^;)
 
生検のための器具は、長さ30センチくらいのドライバーそっくりだった。
結構大きい。
寝ている私の傍らにそれは置かれ、
私は仰向けに寝たままドライバーにちらちらと目をやった。
 
「もうすぐ先生来ますからねー。今呼びましたからねー。」
私を気遣ってしきりに言葉をかけてくれている。
ちょっと周囲がバタバタしている。
きっと先生まだまだ来てくれないんだろうな。
私の後にも診察を待っている患者さん何人かいたし。
エコー検査士のお姉さんはとっくに準備OKみたい。
白黒の映像をなんとなくマウスで動かしてみたりしている。
「先生遅いわねえ。おかしいわねえ。呼んだのに。」
「まだかしらねえ。もう来ると思うんだけど。」
次々と声をかけてくれるその優しさに、
重病患者としての実感が湧きちょっぴり哀しい気持ちになる。
「今、先生を呼びに行ったから今度は来るわよ~。」
「あ、きたきた!」
「はい先生、お願いしまーす。」
 
 
先「ごめんね、お待たせしました。」
Q「いいえ、あ、お願いします。」
先「あー、ちょっとベッドもっと中央にして。これじゃあ僕が入れないよ。」
  壁に沿って置いてあったベッドの、壁とベッドの間に先生は入りたいらしい。
看「は~い」
先「そっち持って。」
看「はい、せ~の~!」
  ベッドが動かされて私が寝ている左側に先生がしゃがんだ。
  看護婦さんが麻酔の注射を用意している、多分。見えないけど。
先「じゃ、先に麻酔して、それから組織とるからね。」
Q「はいー。」
  と、ピルルルルルピルルルルル…先生の白衣のポケットのピッチ(内線?)が鳴った。
先「あ、Qちゃんちょっとごめんね。」
先「はい。ああ。うーん、それで?ああ、ああ。・・・じゃさ、そうしておいて。うん。」
  ベッドから離れて話していた先生が戻ってきた。
先「あーーーごめんね。じゃ見せて(エコーの画像)。そう。そこだね。」
  と、またピッチが先生を呼ぶ。
先「あ、もう一回ごめんね。」
  とんとんと私の肩を軽くたたきながらもう一度電話に出る。お医者さんってすごく忙しい。すごく大変そう。
先「あー、前の医師がなんとかって言ってるみたんなんだよ。うん、うん、じゃ先に入院手配しておいていいよ。はーい。」
先「はあっ。ごめんね。よし、やろう!」
  いえ、おかげでちょっと気が紛れました。
 
エコーの画像で患部の位置を確認しながら麻酔の注射。
おーイテ~。
続いてあのドライバーみたいのが私の右胸にブスっとくる。
太さはドライバーよりはもちろん細い。
バーベキューの串くらい。
麻酔しててもしっかり痛い。
看護婦さんも先生の隣りでエコーの画像を見ながらアシスタントを務めている。
「ここだね。」
「はい、そうですね。」
「よし。」
バッチン!!!
わ~これかぁ、バッチンって。なんだ結構痛いじゃん。
針が抜かれ先生と看護婦さんが採取できたかどうか検討している。
「もう一回かな?」
「んー。そうですね。その方が確実ですね。」
「じゃあ、もう一回。」
えええええええっ!!!!!もう一回同じことするのー!?マジ!?!?!?!?!
採れたみたいならもういいじゃん!?
またブスっときた。
わぁ痛いよ~。
「ここだね。ここなら確実。」
「はい、そうですね。」
「うんうん。」
 
バッチン!
 
はーーーーー。        痛い。
 
2度目のバチンが終わりドライバーがさっと抜かれていく。
「今度は完璧。」
「大丈夫ですね。」
「よしよし。」
がんの組織らしいものがきっと目で確認できているんだなぁ。
何色なんだろう?
やっぱり乳がん確定みたいだな。
 
 
先「はーい、Qちゃん終わったよ~。」
  針の傷口に絆創膏が貼られ傷口が少し大きいからね、と説明を受ける。
Q「はい、どうもありがとうございました。」
先「じゃあ2週間後に結果でるから。」
Q「はい。あのコレ、お風呂とかはどうすればいいですか?」
先「今日はシャワーだけで、一日たったらもう浴槽に入って大丈夫だから。」
Q「わかりました。」
先「じゃあ、お大事に!」
Q「ありがとうございました!じゃまた宜しくお願いします!」
 
服を着たら会計へ行って今日はもう帰っていいですよ、
と優しい看護婦さんの説明。
生検おしまい。
あとは2週間後の結果を待つ。
本日の病院終了はおよそ午後6時。
心配そうに待っていてくれたニョロちゃんと外へ出る。
ニョロちゃんも私の乳がんに大きなショックを受けている。
辺りはもう真っ暗。
 
今日は長かったね。
どっと疲れたね。
とりあえず今日は帰ろうね。
 
 
 
数時間後シャワーを浴びた。
 
傷が治るまでしばらくかかるんだろうな。すごく痛い。
 
病院で貼ってもらった絆創膏を家にあったものにとり替えた。
 
そして一晩ネガティブなことをとことん考えたあげく、翌朝にはかなり開き直って前向きになった。
 
こうなったらよ~し、自力で癌を治してやろう。目指せ自然治癒!行くぜ!オーッ\(^o^)/
 
そうだ!温泉入って毎日笑おう!
 
 
 
 
検査の次の日、お風呂に入る時昨日貼り替えた絆創膏をはがした。
 
 
 
 
一瞬息を呑んだ。
 
というかその様があまりにもひどすぎて、叫びそうになった。
 
針を刺したせいで内出血が物凄い。
 
何これ?
 
こんなの私の胸じゃない!
 
 
 
 
 
乳がんと知らされてから初めての、
 
それはそれは
とても大きな大きなショックだった。