古いほうのHPの「過熱水蒸気の食品への応用」の欄の、
上から5番目に焼肉の写真があります。
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これは過熱水蒸気で焼肉をしている状態の写真です。

炭火やガスなどの「火、炎」は使わず、過熱水蒸気(過熱蒸気)でお肉を焼いています。
この時にみんなで意見が一致したのは「しゃぶしゃぶだと更に美味しい」でした。

普通のお肉でもかなりおいしいのですが、しゃぶしゃぶの要領で薄切りにした肉を過熱水蒸気であぶるともっと美味しいんです

名称としては「エアーしゃぶしゃぶ」「焼きしゃぶ」「エアー焼肉」
もっともエアーなんたらの呼び名はごく最近なのですが。

吹き出す過熱水蒸気の中に薄切り肉をさらし、ホントにしゃぶしゃぶの要領でお肉をゆらゆらと待つこと数十秒。
出来上がりはタレ無しでお肉の美味しさで食べられます。
焼くことによる油脂類の酸化が押さえられてお肉本来の香りが引き立つんですよね。
長く焼いていても堅くならないし、良いことずくめです。
野菜類はジューシーな仕上がりで美味しく焼けています。とうもろこしなんか大変甘くしゃきしゃき感が程良く残った焼け具合でした。

他のパーティーでは鳥を一羽丸ごと焼きました。
油の酸化が少なく、鳥の美味しい香りがひときわ目立ち、美味しく食することが出来ました。
ただ、写真は少々グロな所がありますので割愛・・・

カニも焼いてみましたが、ホントに美味しかったです。
カニのお肉にジューシーさ、程良い塩味、ひときわ濃いカニの風味・・・
役得でしたね。
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さて、ここからの製品化を目指す話になると少々ハードルが高くなってきます。

問題点は過熱水蒸気が目に見えないこと。
大人なら熱いことは判っていますから手を出さないとは考えられますが、
子供相手だとそうはいきません。
高温の過熱水蒸気中に手を出すと確実に大やけどになります。

何しろ「エアーしゃぶしゃぶ」ですから目に見えないんです。

普通のしゃぶしゃぶなら熱いお湯が見えますからね。
吹き出し口に赤いランプを置くプランなど視覚に訴えるアイデアがいくつか上がりましたが、子供相手の根本的な対策にはなりませんでした。

ここの問題点が解決できれば、皆様にはそれはそれは美味しい「エアーしゃぶしゃぶ」「焼きしゃぶ」「エアー焼肉」を提供することが出来ます。



油の酸化に関して先に「その2」を挙げます。

 油の酸化について北海道立食品加工研究センターの阿部先生が大変詳しく研究され、その報告書がHPに公開されました。
この報告は「FOOMA JAPAN 2009 アカデミックプラザ」にて発表されています。
以下は食品加工研究センター発行のメルマガから抜粋です。 

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【3】研究員からの技術情報

◆◇◆ 第33話 過熱水蒸気で焼いた魚は脂臭くならない?  ◆◇◆
   - FOOMA JAPAN 2009 アカデミックプラザにて発表 -

 今回のコラムでは「なぜ,過熱水蒸気処理した水産物が淡泊で上品な風味
なのか?」「なぜ,過熱水蒸気処理品がガスオーブンで加熱した製品より美味
しいのか?」について、ご説明したいと思います。
 ガスオーブンによる焼成や熱風乾燥による乾燥では食品は高温空気の中で
加熱するために、空気中の酸素によって食品表面の油が酸化を受けています。
油の酸化は異味異臭を招き、食味を落とす可能性があります。(焼いたサンマを
冷蔵庫に保管して、次の日に電子レンジで温めてから食べると「やけに油臭い
なぁ」と感じた方は多いと思います。)
 一方、過熱水蒸気処理による焼成では、庫内が過熱水蒸気で満たされている
ために、空気がほとんど入り込まない状態(極低酸素雰囲気)で加熱することが
可能です。酸化しやすい高度不飽和脂肪酸が多く含まれてるサンマなどでも、
過熱水蒸気による加熱では、表面の油脂はほとんど酸化されないため、生臭さの
少ない、美味しい焼きサンマをつくることが可能です。
 これまで「極低酸素下の加熱」は実用上でははっきりとした効果は見られ
なかったのですが、最近では大手小売店のパネラーにも評価されることが増えて
きており、「極低酸素下の加熱」が過熱水蒸気処理の大きなメリットの一つに
なってきました。
 
詳しい報告書はこちら

ポスターはこちら

<<お問い合わせ先>>
◇北海道立食品加工研究センター 
 技術情報科 阿部 茂
 TEL 011-387-4114

サウナの事例を申し上げますと、通常のスチームとは異なる環境が得られます。
この動画で例を示していますが、普通の100℃のスチームを部屋に入れると部屋全体は白くいわゆる「飽和状態」のスチームで満たされます。

一方の過熱水蒸気の場合、同じ温度の部屋に蒸気を入れても部屋の中は透明な状態の部屋になります。

 このナノスチームサウナの乾湿球を用いた湿度測定では温度差は0.5℃以内。
計算では湿度は98%前後になっていました。
 白く見える状態の蒸気は大きさが5マイクロメータ程度で、大きさが30マイクロメータ程度になると自然落下を始めると聞いております。

 従って、普通のスチームサウナでも間欠状態でスチームを入れておけば、水蒸気の粒がくっつきあって徐々に大きくなり、粒の自然落下で一見透明な部屋の状態にすることはできますが、過熱水蒸気と同じような熱さの状態を得ようとすれば透明になる前に蒸気を継ぎ足すことになるので、部屋の中は白く曇ります。

もっとも過熱水蒸気を使った透明な部屋の状態は、部屋に吹き出す過熱水蒸気の温度が高いほど効果があり、200℃付近の過熱水蒸気では部屋はうっすらと白いままです。
 飽和水蒸気だと部屋の中は白く、過熱水蒸気の場合だとこの透明な状態が維持できるのは、水分子のエネルギー状態やクラスターの考え方を導入しないといけないかもしれません。

 教科書的な言い方をすれば、「温度エネルギーが高い水分子は、空気中に拡散していても水分子同士は結合しにくい」とでもなりましょうか。
 バラバラの状態の水分子は、結合するときのいわゆる「凝縮熱」を発してくっつき合うと考えたとき、過熱水蒸気は水分子が保有している熱エネルギーが高い状態なので45℃程度の環境ではまだまだ凝縮熱以上のエネルギーを保有している状態だと考えています。
「凝縮熱」分以上のエネルギーが残存するので結合するに至らず、空気中を単分子状態で漂うことになる。
 従って我々は、普通のスチームサウナは粒状の水が漂っているのに対して、過熱水蒸気サウナはガス状の水蒸気が漂っているとの結論に至っているわけです。

 ここから先の話は裏付けや実験などの研究室レベルでの話になってきますので、我々の手に負えるレベルではありませんが研究テーマとしては大変ユニークな内容にもなるでしょう。

ナノスチームサウナの納入事例です。
虎ノ門ヒルズ (東京・虎ノ門)
ゆの蔵 (大阪・門真)
あるごの湯 (大阪・豊中)
天神の湯 (大阪・高槻)
奄美山羊島ホテル (鹿児島・奄美大島)
虹の湯 (大阪・狭山市)
やまつばさ (福岡・宗像市)
龍神の湯 瀬長島ホテル (沖縄・豊見城)
つばきの湯 (滋賀・水口)
アリスタージュ経堂 (東京・世田谷) 
個人邸(広島・広島市)
桜庵 (山梨・河口湖)
フレイザーレジデンス南海大阪(大阪・難波)
勝ち鬨の湯(廃業) (大阪・北区)
延葉の湯 (大阪・鶴橋)
夕霧の湯 ドーミーインPREMIUMなんば (大阪・難波)
みとろ荘 (兵庫・加古川)
なでしこの湯 (兵庫・神戸)
万葉の湯 (兵庫・神戸)
スパ・住之江 (大阪・住之江区)
うぐいすの湯 (大阪・富田林)
マリーンスポーツクラブ健康館(熊本・菊池郡)
ルネサンス豊中 (大阪・豊中)
cococala (滋賀・大津)
有馬グランドホテル(兵庫・神戸)
ラ・スイート神戸(兵庫・神戸)
上方温泉 一休京都本館(京都・城陽)
城山観光 薬院の湯(廃業)(福岡・博多)
上方温泉 一休 (大阪・此花区)
有田川 光の湯 (和歌山・有田川)
虎ノ門ヒルズが11日の本日オープンしますが、イメージ 1その37Fの虎ノ門ヒルズレジデンスに過熱水蒸気を用いたナノスチームサウナが入っています。
HPに記載のナノスチームサウナ実績にまた一つ名前が増えました。


ナノスチームサウナは過熱水蒸気をサウナに利用できないかと考案し、トライしてみた案件で、テストルームを設置して1年半ほど色々な方に入っていただき、データーを蓄積した技術です。

普通のスチームサウナと比較して、部屋の中が透明で息苦しくなく、過熱水蒸気であるナノスチームが肌に浸透してかなりの潤いを与えるというのが魅力的な点です。
髪にも潤いを与えますが、実際には先に洗髪してしまっているため、ナノスチームの効果は得られません。
実際に美容室などではナノスチームが利用されています。

普通のスチームサウナの場合はこんな感じ。

これに対してナノスチームサウナはこんな感じです。

HPにも色々と書いていますので、ご覧ください。



 食品に対する過熱水蒸気の利用価値は、食材によって異なります。
食材の場合概ね、乾燥・焼成・蒸し・殺菌に分別できます。
目的によって過熱水蒸気の利用手段はそれぞれ異なります。
例えばこんにゃく一つでも、どの調理状態を重視するかで表面状態が異なります。

こんにゃくを使って過熱水蒸気と熱風の温度の上昇比較をしてみましたが、過熱水蒸気のほうが100℃までは一気に上昇するのが判っています。これに対し熱風は少しづつしか上がりません。
これは100℃まではこんにゃくの表面で過熱水蒸気が凝縮して、その為に凝縮熱がこんにゃくを暖めているわけです。この間、重量は増える傾向にあります。
100℃に到達すると、今度はこんにゃく内部の水が蒸発するために、そちらに熱エネルギーが喰われて100℃を維持するようになります。
そしてこんにゃくの表面がそのうちに乾いてきます。

一般に過熱水蒸気は170℃を境に加熱空気より乾燥速度が速いと言われています。過熱水蒸気の逆転点温度と言われる温度です。
ある時点からは空気より乾燥が早いことは確かです。
しかし我々の所では、170℃と言う確定した温度ではなく、ある程度の範囲を持った温度であり、蒸気の線速度がパラメータの中に入っているのではと考えています。
詳しく調べてみたいものですが、研究の部類ですので今のところ、おあずけ状態です。

乾燥の類で一番難しかった食材は海苔でした。O-157の食中毒事件が起きたとき、あるユーザから海苔の殺菌の依頼がありました。

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聞くと、海苔から菌が検出されるとのこと。
つまり、海苔は天日干しの自然乾燥は高級品です。ところが天日干しは空気中にさらすため、大気中に浮遊する菌が付着するとのこと。
海苔は乾燥品で水分活性が低く、菌は増殖しません。そもそも海苔で食中毒などありません。
ところが、単に菌が検出されたとのことだけで商品として価値が無くなるとのことでした。

海苔を過熱水蒸気に晒すと、水分を含んでしわくちゃになります。そこを我々は蒸気線速度のコントロールでしわくちゃにならないようにして殺菌に成功しています。


こう書くと殺菌目的であって乾燥と少し異なりますが、この工程は乾燥の基本的な考え方を踏襲しただけです。