ここでは、10年間パリに駐在していた私が、現地での実情を踏まえて、フランス語会話入門についての代表的な2つの参考書を比較し、どちらの説明がより適切であるかを分析していきます。
比較の対象としたのは、最も売れている「NHKラジオ毎日フランス語」〔以後NHKと略す〕、最も新しい〔2015年11月10日刊行〕「ネイティブがよく使うフランス語会話表現ランキング」〔以後ネイティブと略す〕の2冊です。
第1講 あいさつ
日常会話で最も頻繁に使われるBonjour(ボンジュール)について早速見ていきましょう。
NHKでは次のように説明されています。
散歩中にときどき顔を合わせる男性と女性が通りで話しています。
Homme: Bonjour, madame.
Femme: Bonjour, monsieur.
男: こんんちは(おはようございます)。
女: こんにちは(おはようございます)。
これが、ネイティブでは次の説明になります。
1位 Bonjour.
おはようございます(こんにちは)。
A: Bonjour, Paul!
B: Bonjour, Sarah!
A: おはようございます、ポール。
B: おはようございます、サラ。
■Bonjourは朝、目を覚ましたときから夕方まで、知人同士で一番多く使うあいさつ。
2位 Bonjour, monsieur〔madame,mademoiselle〕.
おはようございます。/こんにちは。
A: Bonjour, monsieur.
B: Bonjour, madame.
A: こんにちは。
B: こんにちは。
■Bonjourの後に、madame, mademoiselle,monsieurを付けると、丁寧なあいさつになり、改まった感じになる。ビジネスの場で使う。Madame, mademoiselle, monsieurの後に名字
は付けないのが正しい用法だが、店員がなじみの客にmadame~と名字を付けてあいさつすることもある。
3位 Salut!
おはよう/こんにちは
A: Salut !
B: Salut, Sebastien.
A: やあ!
B: おはよう、セバスチャン。
■親しい間柄、特に若者や子供同士では、bomjourの代わりにしばしばsalutを使う。単にSalut !でも、Salut, sebastien !のようにファーストネームを付けることもある。Salut,
は「さようなら」の意味でも使う。
★店に入ったとき、タクシーに乗るとき、レジで支払いをするときなど、初対面の人とも言葉をかわすきっかけとして、まずbonjourとあいさつする。
【本日のポイント】10年間パリに住んでいてNHKのようにBonjour madame.というようなあいさつを聞いたことはありませんでした。ここは明らかにネイティブの解説に軍配が上がりそうです。たかがbonjour, されどbonjour、この言葉を発しない日は無いくらいの最頻度用語ですので、くれぐれも用法には注意が必要です。
