わたしは病気だったんだと思う。




寂しくて寂しくて、
なにをしても満たされなかった。

寂しくて眠れなくて意味なく泣いた。


買うときだけ満たされた。


沢山のジルの服。
CHANELもHERMESも買った。


満たされるのは一瞬だけで、
家に帰るとすぐ自己嫌悪。

欲しくて買ったのに、
開けてない袋もあった。


でもやめられなかった。
カードの請求がすごい額になっても、
もうだめってわかっていても。



周りは気づかない。


『いつも可愛くて高い服着てる』
『毎日可愛くていろんな靴履いてる』
『いつも可愛いバッグ持ってる』


それだけを女子力というなら、
簡単なことだと思う。



まだ顔も知らなかったとき。

王子を好きになって電話しまくる毎日。
そのとき言われた。



『そんなにブランドいっぱい持ってたら、
夜の仕事してるか、
買ってくれる人がいるのかなぁって思うよ。』



今まで考えたこともなかった。

わたしの収入なんてたかが知れているし、
CHANELもHERMESの値段も大体わかる。

年齢に見あってない派手な子がいたら、
水商売とか愛人かな、って
わたしも思うときはあったのに。



王子のおかげで治ったけど、
もしひとりになったら、わたしはまた買うのかなぁ。