手術のまえにちょっと着替える時間、
ふとふたりでいるときに
いつ最後の言葉をいわれるかとドキドキした。


ママがいつもしてるブレスレットを、
手術してる間だけ持ってて、と手首につけられた。



例によって、
ママの姉妹夫婦たちやらわたしの祖父母などが集合した。


ママとなかよしのお姉ちゃんたちなので、
ママはがんなのに、終始楽しそうだった。


みんなが帰ってからも、
ママは『楽しかったね』と笑った。


手術は前ほどじゃなかったみたい。

術後の説明にも呼ばれ、
摘出した腫瘍も見せられた。



家族ふたりだけ、
術後すぐに収容される特別治療室みたいなとこに入れる。



パパとわたしが入った。

ママは意識もあって、手をにぎるとわかってくれた。
いたい
さむい
とかなら話すし、首も縦横に振れる。



転移してなかったよとパパが伝えると、
小さい声でよかった、と笑った。