それは、あたしが高校1年生のとき。
16歳になったばかりの春休みだった。

英語に力を入れていた学校で、
ホームステイを兼ねた語学研修の募集があった。

英語コースに在籍していたあたしは、
迷いなく応募した。

一番なかよしの友達数人も、
他のクラスの子たちも応募した。

たった14日間で30万以上もかかる。
学校には、ちょっといいおうちの娘が多かった。

応募すれば誰でも行けるわけではない。
普段の生活態度や英語の成績で採用が決まる。

行けることになったのは、英語コースの生徒だけだった。
うれしかった。

あたしたちが行くことになったのは、
ニュージーランド。



国旗からもわかるように、

元イギリス領のニュージーランドは
イギリスなまりがさらにニュージー風になまった英語。

だけどすごく聞き取りやすかった。
ニュースでさえ聞き取れた。

たいして英語の成績がよかったわけでもない
あたしでさえそうだった。



食べ物もあたし好みですごく美味しいし、
学校の人たちもみんな親切だった。


積極的に話しかけてきてくれて、
富士山などの日本のことを色々聞いてきてくれた。


そしてなにより、

ホームステイ先の
まさに才色兼備な超かわいいお友達ができた。


彼女のお友達とも一緒にランチをしたり、
やんちゃな弟くんとみんなで遊んだりした。

人見知りをしないあたしは、すごくうれしかった。


ステイ先のご両親は、書店を経営していた。

料理上手で明るいママに、
超長身の穏やかな優しいパパ。


二人とも仲が良く、
あたしの英語を褒めてくれた。


動物が大好きな家族で、
馬、犬、猫2匹、インコもいた。


犬も猫も大好きなあたしは、すごくうれしかった。

「うちにも犬と猫がいるの。
 もう死んじゃったけれど、シマリスとかカルガモも飼ってたの。」

あたしは写真を見せながら、ペットの名前も話した。


事前に馬を飼っていると聞いてびっくりした。
彼女の趣味が乗馬だったのにもまたびっくりした。


とにかく広い敷地に、
白くて大きな平屋のおうちだった。


お天気のいい日は家のプールサイドでランチをして、
彼女と二人で泳いだ。

普段は運動音痴でできないバスケもやった。
なぜかゴールが入った。

離れのおうちでシンプソンズをみながら
卓球をやった。

いつもならちょっとできるのに
あんまりうまくできなかった。

弟に「Comeon! Aya!」といわれた。
なんて返せばいいかわからなかった…


お休みには海の近くの別荘へ出掛けた。

クルーザーで沖へ出て、
魚釣りをしたり暴走したりした。


あたしの人生2回目の海外は、
一生忘れられない最高な思い出になった。


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今回の震災で、
彼女の家族やお友達は全員無事だと連絡がとれました。


考えてみれば、彼女の家は
クライストチャーチとは遠かったのです。


そんな彼女とは、今年アジアで
運が良ければ日本で会えるかもしれない!!


その事が今あたしを生かしている。


日本は、援助隊を派遣するのが遅すぎだと思う。
ただでさえニュージーって遠いのに。


もっと早くしていれば、
菅さんの支持率も上がること間違いなしなのに。


どこの国が一番早くかけつけたんだろう?