20歳の10月。

当時大学3年生。

あたしは第1希望だったゼミで都市社会学を専攻していた。



先生も先輩も大好きで、
ひとり4年生のゼミにも参加していた。



プライベートは闇だった。

人付き合いに嫌気がさしていて、
家族ともあまりうまくいっていなかった。



その闇を隠すように、
1人で海外へ行ったり夜の歌舞伎町で遊んだりしていた。



親に縁を切ってもらってひとりで生きたい、

1人で海外を旅する冒険家になりたいと本気で考えていた。



先輩のゼミではほとんど話をきいているだけだったが、

勉強になることばかりでとにかく面白かった。
居心地がよかった。



そこで、はじめてあの街のことを知った。



そこは、大人の玄人が集まる街。


編集者やジャーナリストが集まって、
杯をかわしながら熱い議論をする。


普通の飲み屋街とは違い、
行きたいけど1人では行けないところだともいわれた。



『え?AyAちゃん歌舞伎町で遊んでるのに知らないの?』



冒険には自信があった。
あたしはヨーロッパにも歌舞伎町にもひとりで行く女だ。

1人で行けない場所なんて日本にはない。



怖いもの知らずのあたしは、
その後まもなくその街に足を踏み入れた。



今からちょうど3年前のことだった。