仕事は小さなクリニックで医療事務をしていた。

残業は月に20~30時間くらいあった。

受付時間が長かったので、帰れるのは早くで19時。遅いときは21~22時。
月末は24時を過ぎることもあった。


前の会社では、これが普通だった。
残業代さえつけばいいと思っていた。


でも、そうは思えなくなっていた。


定時に終わる日はほとんどなかった。


今日も定時に帰れないとか、遅くなりそうだと思うと、

激しい頭痛がして吐き気がするようになった。


帰宅しても、食事もできずお風呂にも入れず、やっと薬をのんで寝ることしかできなかった。



小さなクリニックながら、毎日100人以上の患者が来た。


みんな2~3時間平気で待っていた。

それを1人で診る院長は、混み始めるとイライラして、ナースさんやあたしたち事務に当たる。


自分のミスを他人のせいにしたり、急に大声で怒鳴ることもあった。


患者を放置して私用を済ませることも多かった。


待たされて受付に怒鳴る患者さんもいたが、
大抵そういう人は医師を神様だと崇めていた。


この疲れとストレスに、あたしはだんだん耐えられなくなっていた。



週に1日、手術の日があった。


このオペの日が、院長のイライラがMAXに達するときだった。


1日に7人も8人も患者をつめこむものだから、
少しのミスが大きなロスになる。

毎週遅くまで行われていた。



オペ日の出勤は、入社後1年から入るというのが採用時の話だった。



それが、院長は突然来週から入るようあたしに言ってきた。