その年の暮れは空港のバイトをして過ごした。


年末まで帰省せずに仕事をしたのははじめてだった。


バイト先のおねえさんと仲良くしてもらい、全く苦にはならなかった。



ほかの年上の人にも、いつも奢って貰ったり酔って迷惑かけたり、甘えてばっかりいた。



年が明けた2007年、1月のおわりのテストのあとは就活に勤しんだ。



髪を黒くして大量の履歴書を買い込み、
高いお金を払って証明写真を撮った。



連日慣れないスーツを着て電車で出かけた。


数時間の説明をきくだけでどっと疲れた。



行きたい会社などなかった。

とにかく就職先がみつかればよかった。


数打ちゃ当たるという考えでしかなかった。




Kとのホストと客の関係が終わったのは、
就活を始めてまもなくのことだった。



急に髪を黒くしたKを不審に思って聞いてみた。
何か隠しているようだった。



あたしは急にいたたまれなくなった。

Kがいなくなるような気がした。


この予感は、KがC店を辞める時もしていた。


これが女の勘ではなかったなどと、いったい誰が言えるだろう。



この予感を本気にしたあたしは、
ある日就活のあとに新宿へ出かけた。



本当は大学のゼミのメンバーで遊ぶ予定だったが、
新宿に行くことを選んだ。




就活と家族からの重圧のストレスでむしゃくゃして、

頭から酒を浴びたいような気分だった。