Kは4つ年上の大卒で、C店では幹部だった。


4つ上の大卒。



あたしはこの時もまだ、前の彼に似た人をさがしていたのかもしれない。



ひとりでホストクラブに入ったのはこれがはじめてだった。



Kは10分くらいあたしの卓につくと、もの凄い速さでグラスをあけて卓を外れた。



奥の卓にいる指名客らしきおねえさんの横で、
腕をのばして脚を組み、煙草をふかすKをみて。




あたしはいかにも歌舞伎町のホストを見た気でいた。




それからKは毎日連絡を寄越した。



Kと会う前に一緒にいたホストとはそれっきりになった。



Kからは、毎朝営業の終わった9時過ぎに必ずメールがくる。



あたしはだいたい1限か2限の講義中だった。




相手はプロだから、営業と思わせない自然なやり方であたしの中に入ってきた。



何の疑いもなく普通に連絡していただけ。




そうしているうちに、Kからの連絡はあたしの生活の一部になっていた。


こうなったら最後。




あたしはすでに、Kの戦略に完全にはまっていた。