あたしは酔っ払って歌舞伎町をひとりで歩くのが好きだった。

素面でいるより面白いことが多いから。


花道通りをよろよろ歩いていると、
いろんな人が声をかけてくる。


「オネエサン、イマカラシゴト?イイシゴトアルヨ」

ここを歩くといつもいる黒人。
どんなシゴトだろうってついイロイロ想像が拡がってしまう。


「何処いくの?うちの店きなよ。C店のOって知ってるでしょ?」

確実にあたしより泥酔してるホスト。
ごめん、知らない…


「ねぇ君、いくら?」

こう言ってくる人は見た目普通のリーマンが多い。



いかにもな男に痛いくらいつかまれた腕をどうやって放したのか、
あたしは某所に入った。


ここより汚い場所はきっと限られるだろう。

隣から不自然な息づかいが聞こえる。


「私は風俗で働いてて、この人はお客さんなんですよぉ。」


酔っているのかいないのか、
歳はあたしとたいして変わらないような女の子が話す。


けど今そんなこと言う必要がどこにある?

わざわざ言わなくていいじゃない・・・