例えばこんな物語～②～

あたしは週末と夏休みの新宿が大嫌いだった。

けど、今日はここにいたい。


19時。
店に入る。


知ってる人をいるだけつかせる。
知らない人も次々について名刺を置いていく。

お気に入りの人を隣に呼ぶ。
一番偉い人を呼んでｸﾞﾗｽﾜｲﾝを出す。
別にどっちでもいい人までなんとなく呼んだ。


あたしは初めてｸﾞﾗｻﾝなしだったのに、
2ヶ月前に来た酔っ払いだとすぐにﾊﾞﾚた。

あたしはK氏に
「お久し振りです」って
いつもの無表情で言った。


気がついたときには焼酎を4.5本あけていた。

ﾁｪｯｸ後送りを訊かれたあたしは、
ずっと前から決めていたかのようにKと即答していた。

もらった名刺を全部ﾃｰﾌﾞﾙに並べて店を出る。


もう電車はない。

半泥酔のあたしは深夜の歌舞伎町にひとり放り出された。