1918年に発表された芥川龍之介の作品。
絵師の良秀は、大殿に地獄変の屏風を描くよう依頼される。
しかし実際に見たものでないと描けない彼は、実際の地獄絵を見せてもらうように乞う。
彼が描きたかった地獄絵とは、美しい女性の乗った牛車に火をつけ、炎に包まれ悶え死ぬ姿だった。
そこで実際に牛車の中で悶え苦しんでいたのは、なんと溺愛していた一人娘だった。
しかしそれを見た良秀は動揺することなく眼の色を変えて凝視し、
一人娘が焼き殺されるのを目の当たりにしながらも、最高の地獄絵を完成させる。
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ストーリーは恐ろしい内容だけど、文章が本当に綺麗。
『羅生門』とは全然違って言葉遣いが綺麗なのと、誰かみたいに遠回しな表現が少なくて、文章のちょっとした言葉に上品な面白さがあると思う。
あと、さすが画家志望だっただけあって小説家の域を超越した芸術家っぽい感じがする

最期は残念だったけど、「ただぼんやりした不安」っていうのはよくわかるよ。