その2日後、あたしはまたヴィクトリアにいた。
よぉしパレスいこー♪と思っててくてく歩いてると、また後ろから声。
あたしは何故かヴィクトリアにいると誰かに話しかけられる。


彼:「キミ、今からバッキンガムパレスに行くの?」

あたし:「そのつもりよ。」

彼:「今日は開いてないよ。明日にならないと開かないよ。」


しょーーっく!!

いつもは毎日公開してるけど、今日(9月1日)だけはおやすみらしい。

いいもん。
また今度ちゃんと行くからいいもん。。


彼:「明日なら開いてるよ。」

あたし:「そう…でもあたし明日の朝のフライトで日本に帰るの。」

彼:「あーそれは残念だ。」


とか話してるうちにパレスの前に着く。
本当に開いてない。。
しゅん。

「でも、キミに逢えてよかったよ。」
と彼は言った。


王室の称号の意味と由来とか、あの部屋が女王のベッドルームだよとか、
数年前の夏にスパイダーマンがパレスに侵入したこと、当時のマスコミの騒ぎよう、
女王のバースディのときこのへんがどうなるか、ダイアナが亡くなった時にパレス周辺が花でいっぱいになったこと、一度だけダイアナがスマイルしてくれたこととか、色々話してくれた。


それから4、5時間彼と一緒にいた。
ビッグベンに行くといったら連れてってくれた。
彼はある病院で医学研究をしている医師だった。


他にもダイアナ妃の実家とか、このパークは何世紀に誰が誰にプレゼントしたものだとか、ビッグベン周辺の建物やチャーチなどについての歴史についても色々教えてくれた。


西暦何年に誰が何の為に建てたとか、こういうエピソードがあるとか、世間ではこう言われてるけど僕はこう思うとか。


去年イギリス史とっててよかったぁ。。


途中で入ったcafeで、オレンジジュースとストロベリーアイスを奢ってくれた。

「たいていのvisitorはずーっと歩き続けるけど、2時間に10分くらいは休まないとダメだよ。」
と彼は言った。

あたしは何時間でも歩き続けるタイプだと思った。



ビッグベンの隣に、めっちゃ大きくて長い素敵な建物があるの。
完成まで20年かかったらしい。
建築者は、20年間毎日ここに来て設計を確認したり指揮をとったりしていた。


あんな圧倒されるような建物を建てるのは大変だっただろう。
きっといいものをつくるために必死だったんだろうな。
ロンドンで、UKで一番の建物にしてやるって思ってたかもしれない。


ある日、20年続いた建築が完了した。
そのとき彼は急に自分がどうすればいいかわからなくなった。


どうしてもわからなくなった彼は、遂に自殺した。


建物の横に彼の銅像がある。
彼の首にはしっかりとロープが巻かれていた。


一番やりたいことをやり遂げてしまうのは、場合によっては不幸を招きかねない。
欲しかったものが手に入ると、そのうち「こんなもんか…」って思う。
願いが叶うと、前まであんなに切望してたことが嘘みたいに感じる。



恋愛や願望は叶わないからいいのと同じで、本当に叶えたい夢は叶えられそうで叶えられない、
欲しいものは手に入れられそうで入らない、ずっと追い続けるのが一番いいのかも知れないと思った。




長くなりそうなので今日はこのへんでごきげんようねこへび