ごきげんよう

今日はサマバケに読んだ本のお話です。
自分本位に行動する男とその妻との間にできる溝を通じて、近代知識人の苦悩を描いた作品。
大学で教鞭をとり学問のみに生きようとする主人公の兄は、あまりに熱心な研究家でありまた自己中心的であるために、妻をはじめとする周囲に理解されず変人扱いされていた。
主人公である弟はそんな兄の苦しみを察するが、兄は妻に対する弟の愛情を疑い、そして妻の貞操を試すため、あるとき
「俺の妻と何処かで一晩泊まってきてくれ」
とまで依頼する。
その後東京に戻った兄弟の間には溝ができ、妻は弟に対し兄との関係が悪化するばかりだと告白する。
***************************
あたしは彼らしい言葉遣いや言い回しが好きなので、
たまにじれったいときもあるけど、共感できる部分も考えさせられることも多いし好きかな

昔の漢字やオリジナルの当て字も面白い

いかにも上流階級らしい感じが言葉遣いや生活様式によく表れてて、
またそれが彼自身の事実と重なるような気がして、そこが一番よかったかな

コレを読み始めて直ぐ、きっとこの兄は死ぬだろうと思った。
読みながら「いつ死んじゃうんだろ?いつ死んじゃうんだろ?」ってドキドキしてた。
でも彼は死ななかった。
アタシの考えとしては、今後彼の人生において彼の性格を豹変させるようは出来事は
残念ながら起こり得ないと思う。
彼の性格はその一生を終えるまで変わることなく、このまま周囲の人間に変人扱いされ、
また自らもそのことを自覚し苦しみながら生きてゆく事になると思う。
しかし、どうすべきかわからないと言って親友に苦しみを自白した以上、
そう長くはその苦しみに耐えられないはず。
したがって、近い将来彼はこの上なく悲しい結末を自ら迎えることになる気がした。
精神的に本当に孤独になったとき、人は自ら死を選ぶと思う。
特に彼の場合例外は考えられない。
人の性格は直ちに大きく変えられるものではないはずだし、仮にそれができたところで
そうまでして生きたいかという疑問が賢明な彼の頭脳に浮かぶはずである。
世の中には、苦しみながら生きるよりも、別の世界で生きるほうが幸福になれる場合もあると改めて思った。
同時に、一番辛いのは生きたいのに生きられないこと。
すなわち死にたいのに死ねないことだと思った。
何年か前、本気で死にたいと言う友人がいた。
あたしはその人が大好きだったので、「死なないで」とかなんとか、とにかく生きさせるようなことしかいえなかった。
今考えると後悔する。
あたしはその人に死んで欲しくないという自分勝手な考えだけで、よくあんなことが言えたと思う。
その人の人生はその人のものなのに。
死ぬことが必ずしも悲しくてよくないことだなんて思わない。
だって、いずれみんな逝くんだよ?
住む世界が変わるだけ。
逝くのが早いか遅いかってそれだけ。
ずっと一緒にいたい人に先に行かれるのは嫌だけど…
そういえば、著者のいる雑司ヶ谷霊園いけてない
