当会会員でこの選挙運動に駆け付けた方からの投稿です。
先日、愛知に初の女性町長が誕生するかもと期待され、「女性首長の会」も若園ひでこ候補の応援にかけつけた東郷町長選挙は、残念ながら落選でした。
投票率は46.66％（先回より2.14％アップ）。結果は、川瀬正喜（現職）5880、井俣憲治5436、若園ひでこ3311で、予想以上に伸びなかったと言えます。
私は東郷町民でもある「女性首長の会」会員として、選挙事務所に応援に行っていました。その感想を少し述べたいと思います。
東郷町は名古屋市の東南に隣接した人口４万２０００人余の小さな町です。日進・長久手が次々に市制に移行（昇格？）したため、愛知郡で唯一残された町となってしまいました。大きな企業や工場などもなく、財政はかなり厳しい町です。起伏のない平坦な地形で、これといった名所旧跡もありません。鉄道の駅や商店街などがなく、各地域に小規模スーパーが点在するのみで、町の中心という地区がありません。そのため先年、現職の川瀬町長がぶち上げたのが「休養農地などを利用して、大規模ショッピングモールを誘致する」という政策です。ここに三井不動産が事業者として名乗りを上げ、『ららぽーと』の誘致が決まりました。発足して動き出したこの「セントラル開発」に期待する町民は多かったと思います。電話の投票依頼でも２・３「町長が今変わると、この開発は立ち消えになってしまうのではないか」という不安が出されました。
また、川瀬町長にはさしたる失政はなく（議員時代のセクハラ発言は別として）、現在すでに子供の医療費は１８歳まで無料になっているなど、福祉政策についてもなかなか差異を明確にしづらいところがあったようです。
仔細に聞けば町政には問題点が山積みです。しかし、選挙戦での「風通しのよい町政を」という訴えが、具体的に町民にどの程度響いたかは疑問です。難しいですね。
さらに、世代交代については（川瀬町長は74歳）、もう一人の候補者が若園さんよりさらに１０歳若いので、強調できません。また当町では、唯一の女性候補で「女性の目を政治に生かす」ということを利点として受け止められるという民意は、残念ながらさほど高くありません。
得票が伸びなかった大きな要因は、なんといっても出足の遅さだったのではないでしょうか。準備不足は否めません。若園さん自体が出ることを決めたのがほんの１・２か月前ということで、周りにいる前からの支持者を急きょ集めて、選挙態勢を整えたということです。さまざまな準備も素人がことをやっているという状態で、私も世話係の女性にたびたび「ごめんなさいね、不手際ばかりで」と言われました。つぶされる可能性はあったかもしれませんが、やはり、１年くらい前から、出るぞ出るぞ、と言っておいた方がよかったかもしれませんね。しかもこの出馬表明の遅さが、とんでもない噂を撒き散らしていたことを、後から知りました。
実は当町では、前回選挙の時、現職と役場ОＢとの一騎打ちがあり、僅か２１票差で負けたということがありました。若園さんはこの時、同僚議員と共に役場ОＢ氏を応援していました。この時の票は残念ながら今回の若園票には回らなかったのですが、今回の選挙では、若園さんの選挙地盤から離れており、現職町長の地盤地区でもあるにもかかわらず、新住民が多い押草・白鳥・和合ヶ丘というところでは若園得票数が大幅に増えています。変化を求める芽はあると思いました。
若園さんは、議会活動も一匹狼的で、質問や政策提案も熱心にし、活動報告『かえるメール』もたびたび出していらっしゃいます。信念に基づき群れない妥協しないという姿勢には共感を覚えます。また今回身近に接して、偉ぶらない、サバサバとした人柄にも好感を持っています。しかし選挙のようにとにかく数を集めなければという時には、さらに別の何かが要るのかもしれませんね。
一言付け加えれば、ほとんど選挙活動には携わったことのない私ですが、今回の選挙事務所にはとても気持ちよく通えました。中で動いているのはほとんど同年輩の女性で、上から目線で指図する人もなく、またよくあるおじさんがたむろして他事務所や候補の噂話をする、といった光景も見られませんでした。ただ、中で依頼電話をかけたり、ハガキのあて名を書いたりしていると、外の様子は本当に分かりません。特に電話は元々支援者の名簿なのか、とても当たりがよく、掛けていて楽ですがその分気分は緩みます。
選挙が終わってから様々なことが耳に入って来るようになり、地元の友人知人に依頼をした時の反応の歯切れの悪さの訳も、分かってきました。中に入っているから見えないということも多いのですね。
以上、勝手なことを書き散らしましたが、これはあくまでも私の個人的感想です。事実誤認の部分がありましたらご容赦ください。