私には彼を救えないのだと分かって、
ショックと混乱でどうしたら良いか分からなくなったとき、出雲大社に行った。
12月の年末。
向かう途中、電車は山の中を抜けていくのだけど、山は氷と雪の世界だった。
電車の窓に届きそうな木々の枝にも、
雪が積もって、キラキラと光を反射しながらこぼれ落ちそうになってた。
そのとき、
イヤホンで聴いてたiMusicから、
手嶋葵さんの歌が流れてきた。
ゲド戦記のテーマ曲。
昔、アニメが公開されたとき、
何度も耳に入ってきたけど、そのときは特別惹かれることもなかった。
でも、このときは、魂に響いた。
アニメの主題歌という事を越えて、
曲と声、そのものが、心に入ってきた。
そして、窓の外の
冷たく美しい景色と一体になって、
抱えてた混乱は全て、悲しさになって押し寄せて、わんわん泣いた。
いちばん悲しかった時間。
でも、
とてつもなく美しかった。
人生の宝物のひとつ。