今世紀最大のドン引き -26ページ目



長年連れ添った仲の良い老夫婦がいて
「片方が先に死んだら、さみしくないように壁に埋めよう」
と言い交わしていた。

しばらくして、婆さんが先に死んだ。
爺さんは悲しみ、約束通り婆さんの死骸を壁に埋めた。

すると、ことある事に壁の中から
「じいさん、じいさん…」と婆さんの呼ぶ声がする

爺さんはその声に
「はいはい、爺さんはここにいるよ」と答えていたが。

ある日、どうしても用事で出なくてはいけなくなったので
村の若い男に、留守番を頼んだ。

男が留守番をしていると、壁の中から婆さんの声がする

「じいさん、じいさん…」男は答えた。
「はいはい、じいさんはここにいるよ」

最初のうちは答えていた。けれどしかし、
婆さんの声はなんどもなんども呼んでくる。

「じいさん、じいさん…」やがて、
男は耐えきれなくなって叫んだ。

「うっせえ! じいさんはいねーよ!」

すると、壁の中から鬼の形相をした老婆が現れ、
「じいさんはどこだあ!」と叫んだ

すると突然、まばゆいばかりの
スポットライトが飛び出したばあさんを映し出す

「JI-I-SA-Nは」「どこだ!」
ステージにばあさんの声が響く

詰め掛けたオーディエンスは
ばあさんの久々のステージに期待で爆発しそうだ

今晩も伝説のリリックが聴ける。
ストリート生まれヒップホップ育ち。
本物のラップが聴けるのだ

キャップを斜めに被りオーバーサイズのTシャツをきた
じいさんがターンテーブルをいじりながら
目でばあさんに合図する

重たいサウンドがスピーカーから響く。
ショウの始まりだ

「 ここでTOUJO! わしがONRYO!
 鬼のGYOUSO! ばあさんSANJYO! 
 違法なMAISO! じいさんTOUSO!
 壁からわしが呼ぶGENCHO!
 (ドゥ~ン ドゥンドゥンドゥ~ン
 キュワキャキャキャッキャキュワキャ!)
 年金減少! 医療費上昇!
 ボケてて大変! 食事の時間!
 冷たい世間を生き抜き! パークゴルフで息抜き!
 どこだJI-I-SA-N老人MONDAI!
 そんな毎日リアルなSONZAI!
 SAY HO!(HO!)
 SAY HO HO HO HO!」

じいさんのプレイも好調だ。
オーディエンスの熱狂はこわいくらいだ。

まだ、俺らの時代は始まったばかりだ、
そんなメッセージがばあさんの口から飛び出していく
本物のヒップホップが、ここにあるのだ。