以下のチャートはAgoraFinancialがデータをまとめたもので、民間企業と国有企業による住宅の建築件数です。

縦棒は年間の建築数で百万件単位、横棒が年度となっています。また青棒は民間企業による住宅建築数、赤棒は国有企業による住宅建築数です。
このチャートを見ると、2010年後半から国有企業による住宅建築が、民間企業より多くなってきている事がわかりますが、国有企業の利益率は少なく、件数だけが伸びて、買主の数は減少してきています。
以下の図はファイナンシャル・タイムズ紙から拝借しています。
1)左図は、建築に使われる鉄鋼の量と建設工事の数値です。2010年から急激に降下していることがわかります。
2)真ん中の図は、北京と上海の住宅価格を表しています。2001年から2011年の11月の価格の比較を見ると、約4倍の上昇となっています。
3)右図は、市民の入手可能の数値ですが、市民の収入が増加したことで、購買能力が増していることがわかります。
これらの影響が、住宅の価格の上昇に続って来ているわけです。しかしながら、高価格になってしまったことで、中・低所得の人達の購入が、きわめて困難と成ってきています。これはバブルの前の症状と見られています。

更に過去の、米国と日本のバブルの比較を見てください。(データストリームより拝借)
左のチャートのレッド線は、全米の平均住宅価格(1995年~2009年)を表し、ブルー線は可処分所得を表しています。
右のチャートオレンジ線は、日本の平均住宅価格(1983年~2000年)を表し、グリーン線は
可処分所得を表しています。
米国の2006年からの現在までの下降は日本を上回っている状況ですが、中国のバブルの規模は米国以上の規模ですから、今回の中国バブルはかなりの衝撃を受ける可能性があります。
以下のチャートは米国のリセッションを(薄青縦棒)表していますが、ハウジングのバブル崩壊後、必ず景気後退が入ってきています。米国の景気は、1980年代のダブル・ディップ・リセッション(2度景気後退)と同様になる可能性があります。

その理由は大きく3つあり、
1) 欧州を襲ったリーマンショックの後遺症によって、債務問題による景気後退、
2) これらの影響を受けた中国、即ち米国と欧州が作り上げた世界工場に打撃が起こってきている事が上げられます。
3) エネルギー価格の上昇が挙げられます。イランのホルムズ海峡の閉鎖やナイジェリアの内乱、シリアの政治不安による中東内乱による、原油価格の上昇です。
日経ビジネスオンラインにこんなタイトルの記事がありました。
「世界の工場が終わる、中国が迎える大転換」
今年の世界経済は大きな波が押し寄せる可能性が沢山あり、投資には注意が必要でしょう。