「美紀が可愛い」
 勇次があえぐようにして美紀に言った。
「私も勇次ちゃんが大好き」
 美紀が泣きながら勇次に言った。
家族を失ってしまった二人にとってお互いにお互いがなくてはならない存在になっていた。
「ぼく達は家族だ」
「その通り」
 二人の会話は盛り上がった。
ある時は二人で笑い、ある時は二人で泣いた。
「広島でしっかり生きてゆこう」
「うん」
 二人は明日を夢見ていた。