同居猫・小雨が綴る
キョーコさんとの
ふたり暮らし...
海辺の街に引っ越しても、
相変わらず、我が家は来客が
多いこと...。
「キョーコさん、ケーキ焼いて
きたよ」と、アオイちゃんが
来たり、
「一緒に飲もうと思って...」と、
シャンパンを片手に
カナさんが来たり、
相変わらず、
マサトとユッコのブスの会も、
繰り広げられているので、キョーコ
さんは、淋しさ知らずです。
この部屋にやって来た人たちが、
口々に言うのは、
「ひゃ~、キレイな夕日だね。
こりゃ、見ていて
飽きないわぁ!」と、言うこと。
小雨も、ここに来て、初めて、ユウヒと
いうものを見ました。太陽が、
急に真っ赤になって、海に沈んで
ゆくのです。最初は、火事になった
のかと、ビックリしましたが、
キョーコさんが、
「ほら~! 見てご覧、
キレイな夕日だねぇ...」と、
幸せそうな顔で言うので、火事では
ないのだと、安心しました...。
夕日が沈む頃、町のスピーカーから
音楽が流れます。
キョーコさんは、
いつも、一緒に歌います。
「あ~し~た~ は~ま~べ~を~
」
これを聞くと、小雨は、
少し切なくなります。夕日の色が
暖か過ぎて、今日が終わっちゃうのが、
悲しくなるんです。
でも、夕日が沈んで、
空が、夜のブルーになると、
何故か、また必ず、明日が
来るっていう、希望が
芽生えるのです...。
今日ってスゴイなぁ。
そして、明日って、
もっとすごいんだなぁ...。
備考:この内容は、
2011-5-7
発行:角川マーケティング
著者:小泉今日子
『小雨日記』
より紹介しました。