アメリカとフランスを先駆として登場した人権保障の制度は,身分による独占に対抗するための自由権中心の制度であり,人々の平等という価値観も形式的な平等の保障にとどまり,豊かさや教育を受ける権利などといった社会的・経済的不平等を積極的に是正しようというものではなかった。
参政権についても,納税額によって選挙権に制限を加える制限選挙制度をとり,所有する財産の額に関わらず投票権を持つ現在のような男子普通選挙ではなかった。もちろん女性には選挙権が認められなかった。
その後のさまざまな政治的・社会的運動はこうした制約を乗りこえ,人権保障を拡大し補強する方向をたどることになる。そして今日,人権は,その欧米中心主義的な性格が疑問視されながらも,あらゆる国内政治や国際政治の中でいっそう重要な位置を占めつつある。