陽のあたる教室



予告
適切な予告がなかった為、懐かしの淀川長治さんで有名な日曜洋画劇場から拝借



登場人物

グレン・ホランド  リチャード・ドレイファス
作曲家を夢見る音楽家。
生活の為にやむを得ず学校の音楽教師に。

アイリス・ホランド  グレン・ヘドリー
ホランドの彼女で、後の妻。

ビル・マイスター  ジェイ・トーマス
ホランドの親友で体育教師。

ヘレン・ジェイコブズ校長  オリンピア・デュカキス
ホランドの勤める学校の校長先生。

ジーン・ウォルターズ教頭  ウィリアム・H・メイシー
教頭先生。

ガートルード・ラング  アリシア・ウィット
フルートが上手に吹けない女子生徒。

ルイス(ルー)・ラス  テレンス・ハワード
音楽の才能なんてこれっぽっちもない生徒。
ただ、スポーツの才能は図抜けている。

ロウィーナ・モーガン  ジャン・ルイサ・ケリー
歌の才能がある生徒。
個人レッスンでホランドと親密になっていく。




あらすじ


曲を作り、成功を収めたいホランドは、生活の為に仕方なく、学校の先生になる。

学校なら暇が出来、作曲活動に専念できると睨んでいたホランドだったが、その考えはすぐに覆される。

1人の生徒を指導する事によって、彼は音楽を共有し、楽しさを知ってもらう事に遣り甲斐を感じるようになった。






感想※ネタバレ注意





音楽家のグレン・ホランド。

作曲をしたいがやむを得ず学校の教員になる。

最初の講義。

音楽とは何か、生徒たちに質問するも、誰も反応しない。

楽器を使ってみなで演奏するがひどい音!

教師なら時間に余裕が出来作曲する時間がとれると考えているホランドはうんざりし始めた。

それもそうだ、彼は教える事に対して、貪欲ではなく、また経験もないのだから。


演奏の授業で人一倍下手なガートルード・ラングを個人指導し始めた。

中々上達しない…。



歳月が流れ、テストの日、生徒たちの正解率に怒り心頭のホランド。

半年前教えた事が何一つ答えられない生徒たち━。



個人指導はまだ続いており、ラングが泣いている。

家族は皆何か一つ秀でている。

私も何か一つ上手くなりたくて。

私だけ何もない。

彼女は涙ながらに訴え、教室を後にする。





ホランドはうちに帰ると、彼女が妊娠したと告げてきた!


が、何も返事しないホランド(最低)


彼女を適当に慰める━。



ホランドは学校での授業で何かを掴み始めた。


ある日個人指導の生徒が諦めると相談してくるが、音楽は楽しむものと伝え、再び練習を再開する。

何度か失敗するが、彼女は上手に吹けた!!


『何か』が確信に変わったのだ!






時が過ぎホランドの子供が産まれる。



彼は学校で、アメリカン・フットボールのマーチングバンドを任されたが、行進がうまくいかない。

体育教師のビルへ相談すると、ビルは、スポーツ以外からっきしダメなルー・ラスをマーチングバンドに入れて単位を与える代わりに、行進を教えると取引を持ち掛けてきた。。


ホランドに選択肢はなく、苦悩しつつも、引き受ける。


沢山練習し、ルーは少しずつだが上達していく。


ルーも誇らしげだ!


行進当日、緊張するマーチングバンドを率いて、ホランドは身体で音楽を体現し、指揮を執る。


行進は大成功!!


嬉しそうなルー。



マーチングバンドが去ったあと、レスキュー隊がひどいサイレンを鳴らしながら道を通り過ぎていく。


聴衆全員が耳をふさぐ中、行進を見に来ていた、息子だけが熟睡したまま起きなかった━。







そう、息子は聴力の90%を失っていた。





ある授業でホランドは、ベートーベンの話を生徒にするも、彼は後天的に聴力を失ったと生徒に教える。





息子は先天性だった。











数年が経過━。






息子、コールの事で喧嘩の毎日。




マーチングバンドで最も苦労したルー・ラスが戦争で死んだ。









更に時が流れる━。






学校の財政が苦しく、費用を稼ぐ為に演劇ショーを行う事となった。

演劇ショーの指導者はもちろんホランド。

だが、彼は家族と学校の狭間で板挟み状態。

オーディションで才能を見出した、ロウィーナの世話を焼く事に夢中になるホランド。

ロウィーナ君は才能があるから、NYへ行くべきだと告げる。




ロウィーナの個人指導が終わり解散する間際、ロウィーナから作りかけの曲を弾いて下さいと言われ、弾く。

悲しげで哀愁漂う曲だ。



何かを物語っているかのよう。






ショーが始まった!




ロウィーナがとても綺麗だし、歌も表現もすごく上手!



周りの役者も一生懸命!




拍手喝采!!

ショーは大成功!!








ショーが終わり、ロウィーナと二人きりのシーン。



ロウィーナは明日の晩NYに立つと。

先生も一緒に来て欲しい。

今日ショーが終わった後、バス停で待っていると告げられ別れた。



悩むホランド。



ロウィーナの事を妻が察する。

が何も言わない。(女性の勘はすごい)


ホランドはバス停まできた。


嬉しそうなロウィーナ。








だが、ホランドはロウィーナになびかなかった。




こんなに綺麗で情熱的で、魅力的なのにもったいない!

が正しい選択だったと思う。





帰宅したホランド。


ベッドに横たわる妻にキスをする。


察していた妻は知ってた。と一言告げ、ホランドを抱きしめる。





また時が流れ



ジョンレノンが殺された。



それがきっかけで息子のコールとホランドは音楽について話す。



コールは「自分だって音楽について学びたい。」と。



ホランドはコールの為に聴覚障害者へ音楽会を開く。

コールは音楽を聴くようになった。




時は流れ95年






今年の予算が厳しく、先生を数名解雇せざるを得なくなった。

最後まで戦う事を決めたホランド。

予算委員会(教えた生徒も交じっている)に掛け合うもダメだった。



ホランドは親友のビルに、

「いやいや決めた教師を30年、一生を捧げた。」

「だがある日目覚めるとこういわれた。」

「君はクビだと。」



慣れ親しんだ教室を去り、体育館を通り過ぎようとすると、何か音がする。









ここでホランドへサプライズ!!



彼の為に今まで教えた生徒が集まり、集会を開いてくれた。



30年分の生徒たち。



州知事まで参加!



なんと知事は当時の生徒ガートルード・ラング!



ラング知事の演説。




「先生は富と名声よりもっといいものを手に入れた。」

「それは私たちだ。」





ホランドが長年したためてきた、アメリカ交響曲をサプライズで指揮する事に。





最後の指揮を執るホランド━。




ホランドのタクトが振られ、交響曲が始まった!




かっこいいドラムから始まるその曲は雄大で力がみなぎるような感覚に。






ギターも参加し、全ての楽器が活き活きしている。







時に切なく、そして最後まで力強く、ホランドの教師人生は終わりを告げた。







私の感想を。

心温まるヒューマンドラマ。

残虐な描写や痛々しい場面も特になく、小さな子供から大人まで観れる分かりやすい作品だった。

一つの事に興味を持っていて、それを育てる環境を作る為にやむなく始めた事が、いつの間にか自分の中心になっていたという経験はみんなあると思う。

例えばそう、仕事だ。

生活の為に、何かを守る為に、仕方なく仕事をこなしてたが、いつの間にかその中から喜びを得られるように、また遣り甲斐を感じるようになったり。

他にも○○になりたい → 勉強する → 勉強を通して新しくやりたい事を見出す → 目標を変えてそれを目指すようになる…。

などよくよく振り返ってみると、私たちはホランドと同じ経験をしていると言えるだろう。

そんなホランドは最期にあれだけの生徒たちに囲まれて、若い頃の夢は叶わなかったが、それ以上のものを手にいれたと思う。

私たちもいつの間にか人生の分岐点に立たされ、気づかないうちに選択しているかもしれない。

嫌な事でもやり遂げる事、興味を持つ事の大事さをホランドから教わった。

あなたが今現在送っている日常は、とても可能性を秘めているにも関わらず、疎か(おそろか)にしているのなら、今から大事にしてみてはどうだろう。

そんな事を気づかされた作品。





10/7