野田秀樹率いるNODA MAPによる舞台から誕生したナンバーをご案内した前回。
これ特に作為的な並びではないんですが、奇しくも最近お気に入りな藤田陽子ちゃんは、野田秀樹さんの奥様だそうです。

藤田陽子"スフィア"

'90年代末期から'00年代前半に「Soup」や「SEDA」と言ったナチュラル系おしゃれ女子の必読本みたいなラインのファッション誌で活躍したモデルちゃんでありながら、歌や芝居、バラエティなどでもそれなりに頑張ってた陽子ちゃん。

本作はpal@popプロデュースのもと、'99年にリリースされたデビューシングル。
1回や2回じゃ気づかないけケドこれ、随分な名曲だと思う。

pal@popらしいピコピコとチープなサウンド選びとキャッチーで屈託のないメロディラインを描きます。
甘ったるく丸みのあるボーカルと、そんなボーカルで紡ぎ出されてこそ価値のある可愛いらしい歌詞も凄く良いし、嘘みたいに愛くるしいキラキラした世界観に纏め上げられています。
この多幸感は事件よ。

pal@popの才能とセンスってもうちょっと重宝されても良かった気がする。

Laugh and Peace featuring 藤田陽子
"ちょっときいてな"

同じく'99年にリリースされたコラボ物。一部の界隈にはもしかしたらこちらのが有名かも。

これ程までに魅力や面白さを端的に伝えずらい楽曲は無いだろう、と言うぐらいシュールで摩訶不思議、かつ奇想天外、奇天烈でカオスな一曲。

冷や冷やと硬質なサウンドパターンがループし、物々しい空気が充満。それでいて無駄に高揚感を昂らせるトラックは言わばヒップホップ的。
そこに被さる藤田陽子はラップともトーキーともつかない歌唱スタイル。
「うちのクラスのよしなりくん、いっつもうるさい子やね、なんかあったらすぐ先生に言いつけはんねん」と、終始この調子で超ドメスティックな歌詞を関西弁で延々呟き続ける始末。チンタラポンタラとモタつきながらも妙にビート感、リズム感があって、なんかちょーヘン。

当時関西地方ではスマッシュヒットしたらしく、相対的にギャグセンの高い地方で受容されたと言うコトは「これは笑って良いやつ」ってコト？

ある意味、星井七瀬ちゃんの怪作・"恋愛15シミュレーション''のプロトタイプ。
物好きなあなたも是非。

TREASURE HUNT♯31