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あるホテルで打合せをしていた時

こちらに紛れてきた
『香り』にハッとした

祖母が愛用していた
フレグランスの『香り』

思わず辺りを見廻した
祖母がそこにいる気がして

打合せをしながら
頭の反対で懐かしい記憶が解けて行く

思わぬ処でうれしくなった


デパートのティーフロアで

ベンチにお爺さんがちいさい女の子と
ひと休み

また懐かしい『香り』

祖父がいつも吸っていた
タバコの『香り』

瞬きの数が増えた
祖父がそこにいる気がして

微笑み合う姿に幼かった自分と
ちいさい女の子が重なっていく

気持ちのトゲが丸くなった


家のベランダにあるラグの上

ネコが冬の太陽の温もりに微睡む
ほのかな懐かしい『香り』

そっと頬を寄せてみた
春がそこに居る気がして

長く閉ざされた日々が緑の芽吹きと
華やかさに満ちる

柔らかい思いがココロに満ちる


ストーブの前のソファー

緩めた灯りの下にお気に入りの紅茶
あの懐かしい『香り』

初めて一緒に飲んだ苺紅茶の『香り』

ゆっくりと口に含む
消えない気配を気にして

優しい甘味とほろ苦さが
あの頃の彩をよみがえらせる

愛おしくて目を瞑る







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