暗黙知が主体的であるという特徴があります。それだけ日常業務の質を高い状態で維持することが重要であるといえます。逆にいうと、暗黙知の獲得は、質の高い日常業務の実践なくしては不可能であるということです。これを豊かにしていくことは容易ではありません。一つの正しい感覚を手に入れるためには、その上限と下限を知りつつ、最適な実践を繰り返すことによって、体化していかなければなりません。たとえば清拭も楕潔にすることだけを意識すると、皮膚表面に負荷をかけてしまう場合がありますが、硴実に清潔な状態を維持するために、それが必要な場合もあります。その岐適なバランスは、患者の状態によって異なるわけです。つまり創意工夫だけでなく、試行錯誤も欠かせないのです。ところが失敗を積極的に認めるという態度は、看護という分野では難しいことでもあります。安全な実践から、徐々に最適な実践に近づいていくというアプローチしか許されないでしょう。それゆえに、暗黙知の獲得は必要でありながらも時間のかかるプロセスであるといえます。また、言葉にできないのが暗黙知ですから、これを獲得したかどうかは他人からは判断がつきません。
おもしろいです