エントリーNo.5

激戦地ウクライナでの約束

ベース: C-7 DEMAGC-13 TIGER-I

北海道 タキmotoGPさん


1944年晩秋のウクライナ地方,例によって退却中の泣き虫コンドル長官は,幼いキツネの兄妹が寒さをしのぐ家もなく震えているのを見かけ,心が痛んだ。短い間だったが,部下に頼み食料や水を分けてやり,凍えないよう寝袋を与え床板を敷いたテントまで立ててやった。これでも厳しいウクライナの冬は乗り越えられないかもしれない。言葉は通じないが次第になついてきた子供たちに,たくましく生きてほしいと願いながら別れを告げた。

 コンドル長官 「バーニーくん,同時通訳してくれ…子供たちよ,私は自分の国へ帰る。きっともうすぐ戦争は終わるはずだ。戦争が終わったら軍をやめて,すぐ会いに来るから。だから,それまでがんばって生きていてくれ。缶詰の食料は2人で分けて,少しずつ食べるんだぞ。目立つテントにしたから,敵と間違って撃たれることもないだろうし,親切な大人が見つけてくれるかもしれない。私が戻るまで,なんとしても絶対に生き延びるんだぞ。」

 キツネの兄 「Дякую тобі за все ! Бувай!(色々とありがとう! じゃあね!)

キツネの妹 「Дякую Жіжі ! Я тебе люблю ! (ありがと  じぃじ! だいすき!)

バーニー 「うふっ,私もよ♪ さぁ!遅くなったけど出発しましょう!」

コンドル長官 「…ありがとうはわかったんだが,女の子はなんて言ったんだ?」

バーニー 「さぁ?なんだったかしらねぇ?」()

コンドル長官 「気になる~っ,おしえろ~っ!」()

戦時中主だった戦果も損害も出さなかった田園警備隊長官コンドルは,1945年春の終戦を待たずに退役。戦後まもなく結婚して,2人の養子がいたとの記録が残されている。

 

作品のコメント

・苦労したところ 

いつもはカッコ悪い意地悪顔のコンドル長官を,ちょっとカッコよく優しく見せるフィギュア製作です。

・つくるきっかけ

このジオラマ構想は10年ほど前からあり,アイディアをずっと温めていました。ウクライナでの戦争やガザ地区の戦闘があって,戦争に反対する意思を世界に発信するのは今しかないと思ったからです。厳しい冬を生き抜く子供たち,軍法裁判で殺されかねない秘密を守り続ける大人たち,そしてついに4人はウクライナで交わした約束を守ります。鳥とキツネとウサギ,種を超えて優しさに包まれ,敵味方なく平和に生きることの尊さを表現してみました。

・制作方法や期間

コンバットチョロQは以前作ったものです。コンバットチョロQジオラマキットや芝のシート,1/481/76のプラモ,Nゲージの樹木,よく見えませんがパテで作った寝袋も使っています。フィギュアは大人が1/48,子供が1/76ミリタリーを切ったり貼ったり盛ったりした胴体とフルスクラッチの頭部からなっています。構想10年,作業時間は3か月ほどです。

・次作への意気込み など

老眼で作業がつらく2年ほど実践から離れ,昨年は連続応募も途切れたことからカスタマー引退も考えましたが,やっぱり好きなことは完全にやめられないようです。次は自分と家族にとってのメモリアル的作品を作ろうと思っています