大阪で起きた通り魔事件について、大阪府知事は11日、「『死にたい』と言うんだったら自分で死ねよと。人を巻き込まずに自己完結してほしい」と発言した。この発言について、ツイッターなどでは”言い方は荒いがまっとうな発言だ”という意見が大半を占めている。しかし首長としてこの考え方でいいのかということに関して、私は疑問に思わざるを得なかった。はたして、弁護士出身である橋下市長からもまっとうな発言だと認められるのだろうか。


この問題について、人権という面から考察しなければならない。
「人権が制約される場面として、どのような場面が浮かぶか」という問いに対して、「公共の福祉に反する場合」という解答は正解だが、もうひとつ人権が制約される場面がある。
それは自己加害を防ぐために規制する場合である。具体的には、未成年者の飲酒喫煙・麻薬の使用・バイク乗車時のヘルメット着用義務などである。これをパターナリスティックな制約と言う。
憲法には、国家が国民に介入する場面は最小限に留めるという発想が根本にある。したがって、多くの自己加害は推奨されないが規制されない。健康を損なう程の過度なダイエットは法律で罰せられないし、自転車運転時のヘルメット着用義務はない。パターナリスティックな制約は、あくまで人格的自立そのものを回復不可能な程永続的に害する場合のみに限定して国の介入を許すというものである。

自殺は、人格的自立そのものを回復不可能な程永続的に害する場合の頂点に在る行為である。なぜ罰則化されていないのだろうか。
「自分の身をどうしようが勝手である」とか「誰にも迷惑をかけないから」とかいう理由は適切ではないのは上記で明らかにした。
加えて、同意がある行為は違法でないにも関わらず、自殺幇助や同意殺人が違法である点も指摘しておきたい。生命については、たとえ自分の身であろうとも害することもできないのである。
したがって、自殺に違法性がないと考えるのは妥当ではない。また、自殺幇助が罪であるのに自殺は罪ではないというのでは、共犯における違法性の連帯の原則に反する。


ではなぜ罰則がないのか。それは適法行為の期待可能性がないため責任を問うことができないからである。
適法行為の期待可能性とは、違法行為の当時、適法な行為を選択できる可能性のことである。例えば、飢えに苦しむ者が最終手段として食糧を窃盗したときなどに問われる。期待可能性が責任を問う要素になる理由は、適法な行為を行なうことが期待できないような場合においては、違法な行為をあえて選択したとは言えず、責任を論ずる前提を欠くからと説明される。
自殺を実際に行うことを考えてしまう場合、追い詰められて自殺する以外のことを考えられず、「違法な行為をあえて行った」とは必ずしも言えないことから、責任が阻却されるのである。



人命はいかなるものにも代え難く、自殺は違法性を認められるほどに避けたい行為である。
周りの人々を巻き込まなければいい、死を選びたいならどうしようもない、などと発言した大阪府知事は、明らかに首長失格である。

 
この黒い廃液……
我が家のエアコンから排出されました。なんと汚いことか。

数日前、蒸し暑くなってきたのでエアコンの電源を入れると、なにやら酸っぱい異臭がすることに気がつきました。
調べてみると、どうやらエアコン内で繁殖したカビやバクテリアが原因らしく、空気取り入れ口を掃除するだけでは不十分で送風ファンで繁殖しているものを除去しないといけないことが判明。
しかし送風ファンは送風口から覗けばわかるとおり、奥まったところにあり簡単には掃除できません。
様々な質問掲示板で検索してみても、清掃業者に頼むことを勧めている回答がほとんどでした。

清掃業者に頼むのは学生には金銭的な面で不可能です。なんとか自分の手で掃除できないものか…と調べた結果、比較的安価で簡単に掃除できる洗剤を発見しました。
実演販売のコパ・コーポレーンから販売されている「くうきれいエアコンファン洗浄剤」です
実演販売の動画はこちら(youtube)
http://www.youtube.com/watch?v=X_cvIR7HpCg

まず同梱されている両面テープ付きの袋をエアコンの下部に貼り付けます。
下準備ができたら、ムース状になる洗剤入りスプレーを送風口から注入して送風ファンに満遍なく塗ります。使用済み割り箸などでファンを回転させるとうまくなじませることができます。
そのあと30分程度寝かせて、リンス入りスプレーで洗い流します。寝かせている間も適宜ファンを回転させると吉かもしれません。
洗い流すと、凄まじく汚れた廃液がドロドロと出てきます。我が家の廃液は、実演動画で排出されたそれよりも汚れていました。

このムースには、埃や微生物などをまとめて取りこむ効果のほかに殺菌効果もついているようです。
私の手の薬品のついた箇所はカサカサになっているので、使うときはゴム手袋手袋をしたほうがいいかもしれません。
また、エアコンの大きさによってはリンスが足りないことがあるようなので、ノズル付き霧吹きを準備しておくことをお勧めします。

洗い流したあとは、エアコンの電源をいれて送風モードにし、送風ファンに残った洗浄液をふるい落とすと完了です…
と説明書には書いていましたが、中に残った洗剤が気になったので数日間はボロ布(破れて使い物にならなくなったシーツなど)を送風口に当てて対策することにしました。

作業中は換気が必須です。薬品とスプレーに使われているガスの影響で少し気分が悪くなりました。

洗浄後のエアコンの調子ですが、酸っぱい異臭はなくなりました。
薬品の臭いは僅かに残っていますが、これは近いうちに消えるはずです。
快適に冷房が使えるようになりました。

私が住んでいる近畿地方は今日から梅雨入りのようです。暑さの限界を迎える前に掃除ができたのは僥倖でした。
暑くなってからエアコンが使えなくなるという事態に陥るのは大変なので、まだエアコンの試運転をなされていない方は点検だけでもしておくことをお勧めします。

題材:55日付、読売新聞社説

   こどもの日 次世代の「重荷」を減らしたい

   http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120504-OYT1T00806.htm

 

 急速に進む少子高齢化への対策として、増税そのものは不可避であると思われる。しかし、逆進的な性質を持つ消費税の税率引き上げで懸念が払拭できるという考え方は安易に過ぎるのではないか。

 2012131日に総務省が発表した家計調査によると、世帯主の年齢別貯蓄量では、圧倒的に高齢者が世帯主の家計で貯蓄が多くなっている。核家族化が進行している現状を鑑みると、世帯主が若い家計が苦しい生活をしている一方で、高齢者が消費しても差し支えない貯蓄を切り崩さないという構図が垣間見える。まさに、貯めたお金が悪臭を放っているのである。

 このまま消費税率を引き上げると、高齢者の消費は横ばいのまま、若い世代のみが苦しむことになるということは容易に想像できる。この社説に書かれているような「全世代型」の負担には到底ならない。

 まず講じるべき対策は、悪臭を放っている貯蓄を社会に出まわるように、悪臭を放つ前に消費されるようにすることだ。健全な富の循環を構築することが肝要である。一億総中流を破壊することとなった近年の政策は、良い反面教師となり得る。極めて強い累進性を持つ増税は効果的だ。そして、子供を産みやすい社会を作ることも大切だ。子供手当など、様々な対策が講じられてきたが、いずれも人気取りや弥縫策の範疇であった。子供が産みにくいことの大きな理由は学費の増大だ。近年では主に都市部において、学費の安い国立大学に進学させるために幼い頃からから塾に通わせるという、支離滅裂な現象が目立っている(就職難対策でもあるため一概には言えないが)。学費の低減は現物支給とは比べ物にならない効果が期待される。小中等教育の質の向上は目には見えないが効果的な対策である。無論、デフレ対策が重要なことは言うまでもない。次期日銀総裁は、もっと円を刷る人物にするべきだ。

 安易に全世代に負担を求めるのではなく、どこが足りないか、どこに余っているか、どこから税として徴収するべきかということを、よく吟味してから政策を決定するべきだ。

文部科学省は1月10日、文化庁が実施してきた「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」の結果報告資料を公開した。出版社への著作隣接権付与については、出版社等が中心となり、その電子書籍企業に与える全般的な影響について検証が必要なこと、その上で国民各層に渡る幅広い立場からの意見を踏まえることが適当であるとして、継続審議となった。

出版社への著作隣接権の付与に関する議論は、電子書籍の興りとともに発生した。往来の出版流通(本)は著作物再販制度と委託販売制度によって支えられていた。しかし電子書籍では著作物再販制度の対象ではなく、出版社は出版権しか持たないことから違法複製などへの対策が限られる。また、往来の出版契約に含まれる出版権にはインターネット配信は含まれないことから、過去の作品を電子書籍化するには個々の著者に許諾を取る必要がある。このままでは電子書籍の流通を阻害するとして、昨年8月に出版流通対策協議会が同会議に著作隣接権の付与要望書を提出した。

しかし、出版社への著作隣接権の付与に反対している作家もいる。『魔法先生ネギ魔!』などの作者として知られる赤松健氏はツイッターで次のようにつぶやいている。

「出版社への著作隣接権の付与」だけはマジやばい。TPPの知財関連よりヤバい。騒いでる漫画家が殆どいないのもマズい。orz
出版社に著作隣接権が与えられると、例えば出版契約が切れた後でも、出版社が作品の権利の一部を持つことになる。だから作者が他の出版社で再刊行したいと思っても、「ダメ」って禁止することができる。2次創作も同様。漫画家が今より蔑(ないがし)ろにされること請け合い。

マーケティングの観点からも、出版社に著作隣接権のような強力な権利は必要ないという意見がある。
IT業界でマーケティングを中心に活動してきた大野元久氏は、自身のブログで「利用者として新たなプラットフォームにコンテンツが揃うことを望むのであれば、出版社に権利集約する方を選択してもらうよう働きかける方がよいでしょう」としながらも、「版面権などを付与する必要はなく、出版契約の問題として解決できることだと思います」と述べている。
http://blogs.itmedia.co.jp/mohno/2012/01/post-1340.html

著作隣接権は違法複製・配信への効果が強調されるが、作家と出版社の関係を考慮した場合、あくまで契約で解決すべき問題のようだ。

政府は20日午前、老朽化したF-4の後継機として、F35を採用することを決定した。中露などの周辺諸国が相次いで第5世代戦闘機の採用を急いでいるため、高性能なF35を採用して戦力不足を避けることが第一の狙いだ。加えて、米軍との相互運用が容易なこともF35を採用する要因となった。

高性能機を採用した代償として、購入費がかさむことや、情報開示部分が少なく国内の防衛産業にとってはあまり有利とならないことが挙げられる。またMSN産経ニュースによると、11月29日付の米国防総省の内部資料「F35の(開発と生産の)同時遂行に関する簡易報告書」で、テストパイロットが「設計の安定性で信頼に欠ける」と結論し、「調達・生産計画の真剣な再考」を促しているようだ。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111215/amr11121520070013-n1.htm
実戦配備はさらに遅れる可能性がある。

防衛大臣には、7日の国会では答弁を控えたF35の可能性と懸案事項について、しっかりと説明をしてもらいたい。

F-X選定は問題を残しながらも結論が出た。しかし後継機を模索していたのはF-4だけではない。防衛省内では三菱重工業が生産しているF-2戦闘機の後継機開発計画を既に進めており、そのために開発中の実証機が「心神」(正式名称:先進技術実証機,Advanced Technological Demonstrator-X,ATD-X)である。開発総額は394億円で、2016年度頃に初飛行を予定していると言われる。

戦闘機の国産化は、F-2開発のときから反対論も数多くあった。理由としては、国産の兵器開発能力に十分な信頼性がないことや、少数の生産に留まるため価格面で不利なことが挙げられる。しかし、それを補って余りある効果が国産にはあるというデータがある。

平成22年8月25日付の防衛省資料「将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン」の中で、「国産には次にかかげる意義あり」として、F-2開発生産にあたり以下のような効果を挙げている。

自動車産業と航空産業の波及効果として、産業波及効果がそれぞれ872兆円と12兆円、技術波及効果がそれぞれ34兆円と103兆円あったとしている。
また、新技術は民間の他の分野に応用されている。主な技術では、レーダーがETCや車載用衝突防止レーダーに、フライ・バイ・ワイヤはドライブ・バイ・ワイアに、チタンボルトは骨折時の補強として医療現場に、炭素繊維複合材は航空機や自動車のボディーにそれぞれ応用されている。

ではATD-Xの場合はどのような効果があるのだろうか。同資料内で第6世代戦闘機の能力として、カウンターステルス、情報・知能化、瞬間撃破力、外部センサー連携が挙げられている。このことから、センサー強化によってさらなる自動車事故の防止、知能化によって介護・人型ロボットの進化などが期待できる。特に、後者は高齢化が進むと予想される将来において非常に有用な技術となる可能性がある。実際に生産されれば、さらに多くの効果があるだろう。

平成22年度から「次世代エンジン主要構成要素の研究」として、F-2開発時のネックであったエンジンの開発も開始されている。防空だけではなく国民の生活を向上させる戦闘機完全国産化の夢をぜひ実現してほしい。

将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン
http://www.mod.go.jp/j/press/news/2010/08/25a_02.pdf