以前、中波受信用で磁界ループアンテナを作りました。マイナス利得ながらノイズに強くきれいに受信できるアンテナで、今でも重宝しています。
しかしループの中に入るスモールループをどうやって保持するかが課題でした。
ネットを見ていたら、スモールループの代わりにトロイダルコアでループと結合しているWonder Loop アンテナを見つけ、試してみようと思いました。参考にしたページはこちら↓↓↓
http://www.ikegami-net.com/TAKAO/HAM/wonderloop/index.html
上記ページは14~30MHzをカバーしたくて、結果的に10MHzもOKだったというモノでした。POTAを楽しんでいるので、国内を狙うには7MHzは外せません。よって私の場合は下記のようにしました。
バリコンはジャンク品、多分ラジオ用だと思われます。製作完了後、固定コンデンサと組わせて、容量を確かめたところ600pf程度と分かりました。
バリコンの羽が抜けきったところが22MHzで、SWR最低となるよう1ターンのループ長を決めました。2.8mでした。線だけで自立できる限界が3Φのアルミ線で、直径1mくらいまでのループかな?
屋内で設置して試したところ↓↓↓
中身はどうなっているかというと↓↓↓です。
羽を全部一緒に回して600pfをコントロールするのは難しそうなので、羽を4つのブロックに分けました。高い周波数用に右側1つだけのブロック、ちょい足し用で右から2つ目だけのブロック、もう少しプラス用で右から3~4個目のブロック、残り3つのブロックです。トグルスイッチで加減します。さらに、欲張りな私は受信だけでも…ということでコンデンサを+600pf、+1200pfが追加できるようにしました。
外観はこんな感じです。↓↓↓
最初に上げたページの中にワンダーループの効率を計算するURLがありました。
Small Transmitting Loop Antenna Calculator
ここを使って、私が作ったワンダーループの効率を計算してみました。
ループの線径は3㎜、出力5W。
2%と出ました。5W突っ込んでも0.1Wだけアンテナから出ていくということです。5m長の1/4λ短縮バーチカルと受信を比べると明らかにSメーターは振らないです。聞いた感じ10dB以上落ちる気がしますが、20dB近く落ちる感じではないです。
SWRの帯域幅1.5以下で、測定したところ35KHzでした。計算値のコンデンサが618pf…
だいぶ違います。バリコンの羽は200~300pfくらいです。
この計算で推奨されているループの周長は、使おうとしている周波数の1/8λ~1/4λが望ましいとしています。2.8mは1/15λなので短過ぎです。
計算値と実測値が大きく異なっているので、信用はできませんがかなり効率が悪いことは間違いなしです。
他の計算値を見てみます。コンデンサにかかる電圧と流れる電流です。
電圧が126V、電流が3.46Aとなっています。
コンデンサに高い電圧が掛りそうだと思っていましたが、電流も結構流れます。
受信帯域を広げるため、コンデンサをトグルスイッチで追加できます。初めは左側の耐圧500Vのセラミックコンデンサを使いました。
このコンデンサを並列接続して600pfとしました。L成分となるループ部分が2.8mと短いため、周波数が低くなるとSWRが落ちにくくなります。1.8MHzを聞こうとするとSWRは3程度までしか落ちません。先の計算で大きな電流が流れるので、コンデンサの径が小さ過ぎると思い、右側の大径タイプに換えたところ、SWRは2.5程度まで落ちました。送信するわけではないですが、もう少し何とかしたいです。高周波特性が良いのはマイカコンデンサ。ボントンで2200pf100v耐圧を見つけました。110円/個でした。これを2個直列で1100pf200v、4個直列で550pf400vです。セラミックコンデンサと置き換えました。
あずき色に見える物がディップドマイカコンデンサです。交換後、1.8MHzのSWRは2.3まで下がりました。受信だけなのでSWRが3以下となっていればOKでしょう。じゃ!はじめの状態で良いじゃないか!となりますが、電流がたくさん流れるところに、電流がたくさん流せる部品使った方が、抵抗も少なくなり気分良いですよね。実際にSWR下がったし…
でき上がった状態で屋外に持ち出し実際に使ってみました。
JP-1460からの運用。運用開始が16:15と遅く、直ぐに暗くなり始めました。ACT成功のため5m長バーチカルも立てて保険をかけていました。とりあえず10QSOは達成しました。ワンダーループの実績は6QSO。7で5QSO、10で1QSOでした。コールいただいた局長さん、ピックアップいただいた局長さんありがとうございました。
7MHzは計算値でも出ているとおり、効率は悪そうで苦戦しました。少し効率が良くなる10ではいけるかも…という感触を得ています。次回のACTはワンダーループだけでチャレンジです。
ワンダーループの良いところ。
・無線機、ケーブル、ワンダーループだけで移動運用ができる
・設置が簡単、運用場所を選ばない
・アース不要
・省スペース
・受信信号のS/Nが良い
・意外と広帯域、7MHz帯ではSWR1.5以下が35KHz
・ループを変えば、中波でも使える。
・バリコンを回すだけでクイックQSYが可能
・意外と広帯域について
周長2.8mのループで、バリコンのトグルスイッチを全部OFFにすると
26.87MHzでSWR1.4でした。
周長2.8mでは、ここがこのワンダーループの最高周波数と思われます。
バリコンの羽が全部抜けた状態で、高い周波数用のブロックのスイッチをONすると
22.6MHzでSWR1.3でした。
少し羽を入れると
21MHz帯に合います。
21MHz帯では、最低SWR1.2、SWR1.5以下の幅は260KHz、計算上の効率は43%
18.1MHz帯では、最低SWR1.2、SWR1.5以下の幅は190KHz、計算上の効率は30%
14MHz帯では、最低SWR1.3、SWR1.5以下の幅は80KHz、計算上の効率は15%
10.1MHz帯では、最低SWR1.3、SWR1.5以下の幅は50KHz、計算上の効率は5%
7MHz帯では、最低SWR1.2、SWR1.5以下の幅は35KHz、計算上の効率は2%
羽をマックスに入れると3.4MHzまで下げられます。この時のSWRは1.2
この状態で550pfを追加すると、2.53MHzでSWR1.6
更に1100pf追加で1.835MHzで、SWR2.3
…となりました。
周長2.8mのループではL成分が足らなくて、SWRが落ち切らないようです。実際は効率もかなり悪く、受信でも使えるかどうかでしょう。
・ループを変えば、中波でも使えるについて
自宅では1.8,1.9,3.5MHz帯は23m長のロングワイヤーを使っています。アパマンで長さを稼ぐため、ベランダの左右を目一杯使い、ループ状に配線しています。これをループ結線にして、ワンダーループとして使います。
3.5MHz帯では、最低SWR1.1、SWR1.5以下の幅は90KHz、計算上の効率は21%
1.8MHz帯では、最低SWR1.3、SWR1.5以下の幅は20KHz、計算上の効率は2%
…でした。
計算上の効率はかなり悪いです。実際の使用感は3.5MHz帯では、ロングワイヤーと遜色ない感じで使えました。1.8MHzではロングワイヤーより劣るが、飛ばないと感じるほどではなかったです。受信はロングワイヤーに比べ、ノイズがとても少なく快適でした。
では中波の受信。
810KHzAFN東京を聞きました。1λ=370m。
波長に対して23m長はあまりに短いためSWRは下がりきらず2.5です。効率はかなり悪いと思われます。私のところは愛知県西部、送信所から270Kmくらい離れています。
フルスケール1つ手前までSメーターが振ってきます。地元局並みです。
ループをリンク先と同じ直径64cmにすれば28MHzでも使えます。ワンダーループとはループの大きさ次第で中波~HFにわたる超高帯域で使える、小型ながら凄いアンテナと言えると思います。
・バリコンを回すだけでクイックQSYが可能について
アンテナアナライザーを使って合わせるのも良いですが…
まず無線機をバンドチェンジします。
続いて、バリコンを回して、受信音が大きくなるところを探し、
無線機を送信しながらSWR表示で最低点を探して完了です。
SWR1.5以下の幅が意外と広いので、雑音がよく受信できるとSWRはだいたい落ちています。リグのSWR表示で微調整するといった感じです。
以上、ワンダーループアンテナ(Wander Loop Antenna )の紹介でした。
お手軽QRVにもってこいです。是非、使ってみてください。