佐藤大輔の「征途3 ヴィクトリー・ロード」を読みマスタ( ̄^ ̄)ゞ
佐藤大輔、唯一の完結した小説の最終巻となりますな。
先ずは表紙

「やまと」は度重なる改装で、超大型の防空護衛艦と化しております( ̄∇ ̄)v
また、その辺は後ほど(;^^)ヘ..
いよいよ、この小説も現代へとつながってきます。この小説でも湾岸戦争が
勃発するのです(1991年でしたかね。いや~懐かしい)。この湾岸戦争ですが、著者の佐藤大輔が別の小説というかコラムで語っているのですが、当時の「タクティクス」って本(一部マニア向け雑誌(*´∀`*))の特集ページで、湾岸戦争をシュミレート。砂漠の嵐作戦を完全に予想していたと豪語しておりました。それほど、作者入魂の部分であります。これに3巻の半分は費やしております。
この分断国家日本は、現実のドイツと同様、当然多国籍軍として派遣されます。主力は超大型護衛艦「やまと」と航空護衛艦「しょうかく」(CV-4)を主力とした護衛艦群。および陸自の第7機甲師団を主力とした第一独立装甲連隊。この小説での第7機甲師団は装甲車両800両以上人員22000名以上の堂々たる機甲師団で北海道で対峙する「赤い日本」の陸上兵力へ対応しているわけです。
ま、この小説は「やまと」中心の話でありますので、当然「やまと」の艦長は、小説の主人公であります藤堂進でありますな。
ちなみに、海上自衛隊航空護衛艦「しょうかく」がこちら。

東京政権下の日本は、すでに74000噸級の大型空母を保有する国家となっている
のですね。(それも2隻保有)で、搭載機は、
F-14Jトムキャット
F-14J改ボムキャット
FV2Bバルキリー(国産のVTOL戦闘機)( ̄∇ ̄)・・・当初導入したAV8Jハリアーを大幅に改良した国産機となっておりますが、詳細は不明。ただし、各機動にスラスターを用いているらしい・・・ここら辺は、ちょっとしたお遊びです、本筋にはほとんど関係無いです。
とはいえ、夢のような海上自衛隊・・・・これなら、呉も毎週行きますよ・・・・
あ、話がそれました(*´∀`*)
小説の湾岸戦争ですが、史実通り、徹底的にイラクは多国籍軍にたたかれるのですが、このイラクに派遣されていた当時の「赤い日本」と「ソ連」の軍事顧問団。
それを率いる藤堂守とコンドラチェンコ(藤堂の親友であり、亡き妻の兄)は、このままでは、ソ連および途上国への武器輸出が最大の産業になっている「赤い日本」こと日本民主主義人民共和国の兵器および防衛システムが、西側の兵器に全く敵わない・・・ことが明らかになる。そうではなく、ソ連および「赤い日本」が指揮及び純正の兵器であれば、西側の兵器と十分戦える事を証明しないと自分らが失脚しかねない。この為二人は両国の派遣部隊を主力とした(イラク軍を囮として)一時的な反攻作戦を立てます。ま、この辺は、小説を読んでもらえば・・・・
この一時的な反攻作戦の結果、米軍は空母「ミッドウェー」が撃沈破されるという、結果になるのです。ま、撃沈する空母が「ミッドウェー」って言うのが、ミソなんですがね。
湾岸戦争は史実通り、多国籍軍の完全な勝利に終り、それから数年後。
どっかの半島国家と同じく、この「赤い日本」も偉大な国家指導者の下に統治されておりまして、初代の指導者の健康が急速に悪化。政情が一機に混沌としてくるのです。
次期指導者とされる、息子(某国の二代目と同じ感じで想像して下さい)は、父親の死と同時に国内の反体制派の粛正と統一戦争へ突き進むわけです。この辺は、密かに「赤い日本」への復讐心を燃やしていた藤堂守の画策もあるんですけどね。
(この辺の葛藤は、小説を読んで下さい)
この「赤い日本」は、どっかの半島国家と違い、日本人が作った社会主義国でして、優秀な武器輸出(ソ連製のコピーですが、そこは日本人。ロシア人が作った物よりいいものを作るのですよ)で外貨と石油を獲得し、兵器の質も練度もソ連軍並みの精強な軍事力を保持しております。かつ、核兵器も保有(決して多くはないですが)。
ソ連から購入した空母および戦艦も保有しております。
ストーリーは、いよいよ佳境の、統一戦争へ。ここら辺からは、小説と言うよりウォーゲームの展開と考えて下さい。(既成の倫理観でとらえると、えらいことになりますんで・・・)
全軍を掌握した藤堂守は戦術核を使用した先制攻撃により国後島に終結していた米軍を壊滅。
統一戦争は、自衛隊(東京政権)と日本民主主義人民共和国軍との純粋な正規戦へと移行。
海上では、またまた防空能力を大幅に強化された「やまと」以下

および新鋭航空護衛艦「ほうしょう」

(これまた、笑えますが、双胴船です)
艦載機は、FV2B・・・
と戦艦2および空母1を擁する赤い日本の赤衛艦隊が激突。
対艦ミサイルの応酬。。。も、結果として防空能力の圧倒する海上自衛隊が
勝利をあげ、制海権を奪取。
制空権もF-15J主力の航空自衛隊と2隻の「しょうかく」型護衛艦からのF-14Jの邀撃により、SU27主力の赤い日本の空軍も数的優位を覆されていく。
陸上は、圧倒的な兵力が自慢の赤軍も制空権がなくなると徐々に侵攻速度が鈍化。
・・・・ま、結局いろいろあって、日本は東京政権下の日本に統一されるのですが。
この小説。分断国家の日本を描くのと同時に、「赤い日本」を監視する目的で
早い時期から宇宙に乗り出した日本の宇宙開発がもう一つのテーマ。日本の宇宙開発は最終的にアメリカを追い抜き、独自で宇宙往還機(スペースシャトルのような、擬似的なものではなく、完全にリサイクルできる)の開発に成功し、21世紀の宇宙の覇者として日本が乗り出す・・・ッテところでエンディングになるのです。
征途・・・この意味が最後に・・
最初の宇宙往還機で宇宙へ飛び出す輝男(進の息子が搭乗)を送る家族。輝男の娘を抱く進が、娘に話しかけるのですが
「彼女たちの世代が征(ゆ)く途(みち)を照らす天の光は、全てが星で出来ているのだから。」
そう、21世紀の日本は宇宙への征途なのです。
ウォーゲーム好きのあなた!ぜひ、読んで見て下さい!おすすめですよ。
ただね、最後が妙に端折りすぎですけどね。本当は4巻なんだろうな。
統一戦争だけで1巻!
もし日本が、ドイツのような分断国家になり、となりに敵対国を持つ現実から、まっとうな外交と軍事を行える国になっていたら・・・・・・また、違った戦後があったかも・・・という話でした。同じ敗戦国の日本とドイツ。どうして、ああも外国からの評価が分かれるのか・・・