2025年8月23日掲載
2025年10月18日改訂
秩父市別所のナラガシワ自生地を訪ねました。文献に書かれているので以前から知ってはいたものの、初の訪問です。このナラガシワ自生地は、埼玉県の希少な植物群落について書かれた文献にも掲載されました!
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/266115/353-465.pdf
西武秩父駅からレンタサイクルを利用しました。
ナラガシワ自生地は、「510DINER」というハンバーガー店の近くにありました。写真中央の高木がナラガシワで、どんぐりも成っていました!
荒川に注ぐ小さな沢の崖に生えています。
その奥にはナラガシワの成木が2本と、オオバコナラ(ナラガシワ×コナラ)が1本ありました!ナラガシワの若木も2本生育しています。
南西側から川沿いに回り込むと、ナラガシワの若木を1本発見しました!
沢の下流に来ました。神奈川県相模原市緑区中沢のナラガシワ自生地と同じ環境です。
よく見ると、右岸にもナラガシワの成木が1本生えています(写真中央上)!
510DINER近くでは、ナラガシワの成木が左岸に3本、右岸に1本、若木が左岸に2本、右岸の南西に1本ありました!規模は小さいですが、優占種はナラガシワ・ケヤキ・ハルニレで、オオバコナラ・クヌギ・アラカシ・オニグルミ・エノキ・イロハモミジ・イタヤカエデ・ミズキ・トチノキ・シュロなどが混生していました!ハルニレ・イタヤカエデ・トチノキは主に冷温帯に分布する樹種で、ここは山地帯下部といったところです。
また、510DINER近くから南西の民家にもナラガシワの若木が1本ありました!周囲にナラガシワが自生しているので、この個体も自生だと思います!
巴川橋の右岸にあるナラガシワの大木(2025年10月17日撮影)。樹高15m・幹径83cmくらいです。8月に来た時は結実していたため期待したのですが、10月の訪問時にはどんぐりは殆どがシイナや未熟果でした。2025年の秩父のナラガシワは、全体的に凶作でした。
レンタサイクルで周辺も探してみましたが、ナラガシワが見られたのは別所・下影森のみで、成木5本・若木4本の計9本でした(文献では2本と書かれていました)。ナラガシワと混生することが多いハルニレがあったのも別所だけでした。
また、別所の道路西側の河岸段丘の林の崖の部分にカシワが2本生えているのも確認しました!ともに民家に接していたものの、植栽とは考えにくい崖に生育していたため、自生の可能性も否定できません。埼玉県では丸山周辺や皇鈴山周辺でカシワが見られるそうなので、秩父にカシワの自生があっても不思議ではないです。カシワは樹皮のタンニンを防腐剤として利用することができるため、江戸時代には外秩父山地のカシワから樹皮を採集して出荷したそうです(「埼玉県立自然の博物館フィールドガイド 埼玉の自然誌~埼玉の自然を見る・感じる~」より)。







