5年ぶりに高知県のハナガガシを訪ねました。高知県にお住まいの古庵様に、須崎市上分のハナガガシとイチイガシの巨樹を案内していただきました。5年前に須崎市を訪ねた時は夕暮れ時だったため、写真を撮り直しました。
【遅越(上分賀茂神社)のイチイガシ】
市指定天然記念物です。昭和48年(1973年)の指定時に樹齢400年なので、現在は樹齢452年です。
境内にはイチイガシの巨樹が1本あります。神木として植栽されたものと思われます。撮影は午前が良いそうです。
幹には洞がありますが、樹勢は良好です。
【須崎市上分のハナガガシ自生地】
2018年春に、四国で初めて社叢以外でハナガガシの生育が確認された場所です。
須崎市の天然林ではツブラジイが広く優占していますが、ハナガガシの生育地点は非常に限られているそうです。
スギ人工林内の急斜面にハナガガシが生育しています。
左から、ヤマビワ・ハナガガシ・カンザブロウノキです。ハナガガシの若木が順調に生育している場所もありますが、スギ人工林の下刈りで切られないかが心配です。バリバリノキ・タイミンタチバナ・ルリミノキ・ミミズバイ・ヤマモガシなども見られ、やはり暖地性の樹種が多いです。イチイガシ・シリブカガシも少数見られました。
古庵様によると、ハナガガシのどんぐりは2019年度が大豊作だったそうです。2019年度の堅果量を仮に100とすると、2020年度は33、2021・2022年度は凶作、2023年度は33、2024年度は30くらいの堅果量とのことです。豊作年の翌春には沢山のハナガガシの実生が見られるそうですが、多くは動物に食べられて消滅するそうです。
前日に土佐市の松尾八幡宮と闇谷神社に行きましたが、松尾八幡宮では多少どんぐりが落ちていましたが、闇谷神社では落ちていませんでした。
【仁井田五所神社(堂岡)のイチイガシ】
越知町指定天然記念物に指定された2本のイチイガシの巨樹です。仁淀川沿いに位置しているため、自生の可能性があります。以下に記載する樹高・幹周・推定樹齢のデータは1970年の指定時のものです。
南株。樹高36m・幹周430cm・推定樹齢400年(現在の樹齢は455年)です。幹は腐食が見られますが、樹勢は良好に見えます。
北株。樹高48m・幹周460cm・推定樹齢450年(現在の樹齢は505年)です。
1970年の指定時よりも生長しているはずなので、現在の樹高は南株:40m、北株:50mを超えているのではないかと思います。イチイガシの樹高は図鑑では30mと書かれていることが多いですが、50mもの個体は初めて見ました!
【ヤエ栗のイチイガシ】
佐川町庄田の鯨坂八幡宮にあるイチイガシの巨樹です。
根元は板根状になっていました。「全国林業改良普及協会 土佐の名木 1971年」によると、樹高30m・幹周5.6m・樹齢500年(現在の樹齢は554年)とのことです。
境内にはイチイガシが5本あり、川沿いに位置しているのでイチイガシ林の断片と思われます。
【加茂のイチイガシ】
佐川町指定天然記念物で、土佐加茂駅の西の加茂神社にあります。
樹高約30m・推定樹齢350年以上とのことです。
この辺りでは、いの町柳瀬・二社神社にも町指定天然記念物のイチイガシの巨樹があります。
案内してくださった古庵様、本当にありがとうございました!