2022年10月15日改訂
コナラ・ナラガシワ・ミズナラ・フトモミズナラ・カシワは互いに交雑しやすく、以下のような雑種が存在する。
・コナラ×ナラガシワ
和名:オオバコナラ(コナラモドキ) 学名:Quercus x major
本州・四国・九州・朝鮮に分布する。
葉はナラガシワより小形だが、鋸歯が深い。枝はナラガシワよりも細く、樹皮はナラガシワに似ていた。ナラガシワ自生地に2本混生していた。
・コナラ×ミズナラ
和名:ミズコナラ 学名:Quercus x crispuloserrata
葉身12~14cm・側脈14~15本、葉柄は短い。本州・九州のコナラとミズナラの分布の重なる地域に見られる。
・コナラ×フモトミズナラ?
(和名・学名ともに不明)
コナラ・フモトミズナラが混生する群馬県桐生市吾妻山で、交雑種と思われる個体がしばしば見られた。筆者は愛知県でも同様の個体を観察している。
葉の切れ込みが深い点はフモトミズナラの形質だが、葉柄が見られる点はコナラの形質である。葉の幅はフモトミズナラよりも狭い。側脈もフモトミズナラより多く、間隔が狭いように見える。
どんぐりは、殻斗の鱗片がフモトミズナラのように少し隆起している。フモトミズナラの落下最盛期にはまだ未熟だったため、成熟は10月頃と思われる。
・コナラ×カシワ
和名:コガシワ(コナラガシワ) 学名:Quercus x takatorensis
葉身8~18cm・葉柄0.5~1.2cm・鋸歯9~13対で、葉裏には毛が見られる。葉はナラガシワに似るが、殻斗の鱗片がやや長いことで区別できる。枝はコナラよりも太い。本州・四国・九州に分布する。
葉はコナラよりも大形で、葉柄はカシワよりも長く、枝はコナラよりも太い。葉はナラガシワに似ているが、ナラガシワよりも小形で葉柄が短い。
ナラガシワと混同されがちで、東京都の新宿御苑、高尾山山頂でナラガシワとされている個体はコガシワであった。
どんぐり。殻斗の鱗片がやや長い所にカシワの特徴が感じられる。
・ナラガシワ×ミズナラ
和名:ナラミズガシワ 学名:Quercus x alienocrispula
近畿地方に稀に分布する。
・ナラガシワ×カシワ
和名:チョウセンコナラ 学名:Quercus x mccormickii
当年枝・葉柄・芽鱗・葉身にはカシワと同様に星状毛が密生する。葉柄が2.5~3cmである点はナラガシワの特徴を示す。本州・四国・九州(対馬を含む)、朝鮮・中国(北部・東北部)に分布する。
チョウセンコナラと思われるどんぐり。葉はカシワにそっくりだったが、短い葉柄が見られた。ナラガシワ林の中に数本混じっていた。近くにカシワが植栽されていたため、交雑したのかもしれない。
・ミズナラ×カシワ
和名:ホソバガシワ(カシワモドキ) 学名:
Quercus x angustilepidota
葉身10~20cm、葉裏は白っぽい緑色で毛がある。当年枝・葉柄には星状毛が密生する。北海道・本州(中部以北)に分布し、釧路の海岸に多い。
葉。この個体はカシワに似た葉であった。
どんぐり。殻斗の鱗片の反り返り具合が不十分である。