昨秋、豊作だった玉原高原のブナ。その実生を観察しに行きました。
 
実生。至る所で発芽していますが、特に落葉が堆積して湿った場所に多かったです。
1箇所にまとまって実生が見られることがありますが、これはネズミが貯食した実が発芽したものと思われます。
沢山発芽していますが、秋まで生き残るのはごく僅かだそうです。
林床の様子。ササが繁茂していますが、ブナ稚樹も多く育っています。ササは密度がまばらな場所もあります。ササは数十年に一回、一斉に開花・枯死しますが、枯死したササ群落は元に戻るまで20年前後かかるそうです。ササが繁茂していると林床に太陽光が殆ど届かないため、ブナ実生の枯死率が高くなります。ササが枯死すると林床が明るくなり、ブナ実生の生存率が大幅に高まります。
また、倒木が生じて林冠ギャップが形成されると林床まで光が届くようになり、稚樹の成長が促進されます(ギャップ更新)。ブナ稚樹はチャンスが来るまで、薄暗い林床でじっと待機しています。
玉原高原のブナ林は、ブナ-チシマザサ群集に区分されます。この時期のブナ林ではエゾハルゼミが鳴いています。
ブナ平のブナの中でもひときわ存在感のあるマザーツリー。玉原高原のブナ林は二次林ですが、ブナ平周辺はブナの優占度が高く、ミズナラは少ないため、ほぼ極相林です。
新緑のマザーツリー。樹高25m・胸高直径1mくらいです。ブナは寿命が200~300年と長いため、ササが一斉枯死する機会が何回かあり、その時に大規模に世代交代するそうです。
 
尼ヶ禿山山頂からの風景。尼ヶ禿山周辺では、ブナ林の中にアスナロが多かったです。今回は、センターハウス→ブナ平→尼ヶ禿山→玉原湖→ラベンダーパークを歩きました。かなりの距離を歩きましたが、それほど疲れませんでした。私は登山が好きというわけではないため、スギ・ヒノキ人工林の山を歩くのは苦行ですが、ブナ林の山は楽しくて長距離歩けます。
地図を見ると、尼ヶ禿山と迦葉山の間の秋山平に「美しいブナ林」との記述があり、気になります。
 
今春の玉原高原ではブナが2年連続で開花したそうで、今回も沢山の実をつけた個体が幾つか見られました。2年連続で豊作なんてあるのでしょうか?夏以降も様子を見に来ようと思います。