神奈川県横須賀市の天神島に、ハマボウを見に行きました。私の好きな花です。

天神島・笠島および周辺水域は、県指定天然記念物です。

 

ハマボウは海辺の砂浜に生えていました。伊豆半島では河口の砂泥地でマングローブ状に生えていたので、伊豆半島とは違った生育環境です。

岩場に生えたものも少数ありました。

花は一日花で、午前中が見頃です。ブッソウゲ(ハイビスカス)と同属で、日本のハイビスカスのような存在です。学名はHibiscus hamaboです。

絶滅危惧種には指定されていないものの、埋め立てや護岸工事によって全国的に減少しています。神奈川県では川崎市川崎区殿町の多摩川河口にも自生しますが、天神島と合わせて個体数は50株未満とされ、絶滅危惧ⅠA類(CR)となっています。

 

折角なので、ハマユウ(ハマオモト)も撮影しました。ヒガンバナ科の多年草で、日本では本州(房総・三浦・伊豆・東海・紀伊・山口県)、四国(太平洋岸)、九州に分布します。

ハマボウ・ハマユウの種子は海流(黒潮)によって運ばれます。南方からの暖流である黒潮は、千葉県で北方からの寒流である親潮とぶつかります。ハマボウ・ハマユウの分布が千葉県で止まっているのは、このためなのでしょう。

ハマユウ(ハマオモト)・ハマボウ・ハマナタマメ・ソナレムグラなどの分布北限を結んだ線はハマオモト線と呼ばれ、年平均気温15℃・年最低気温平均-3.5℃の等温線とほぼ一致します。前述のように、千葉県は黒潮の到達する北限域にあたるため、黒潮のもたらす温暖な気候に依存する暖地性の生物は千葉県を北限とするものが沢山あります。