2021年4月12日掲載
2024年11月22日改訂
「八王子市動植物目録」をはじめとする幾つかの文献に、八王子にイチイガシが分布することが記されています。八王子市動植物目録では以下のように記されています。
多摩森林科学園(旧浅川実験林)内には自生品の記録がある。東高尾に稀との記録がある。標本:T3978 多摩森林科学園 1960.11.27 畔上能力
以前から気になっていた多摩森林科学園のイチイガシを見に行きました。台風で閉鎖されたり、コロナで休園になったりして、久々の訪問です。
園内の彼岸通りにイチイガシはあります。写真は第3樹木園から撮影したものです。谷底に1本生えています。
説明板では植栽起源と考えられると書かれています。
以前、11月に来た時には沢山のどんぐりが落ちていました。
下記リンクの図鑑のイチイガシの写真は、ここで撮影されたものです。
他にもイチイガシがないか、近隣の八王子城跡で探してみたことがありますが、アラカシ・ウラジロガシ・シラカシだけでイチイガシは全くありませんでした。
イチイガシとナラガシワは関東でも遺跡からは出土するようですが、今日では自生を見ることは殆どありません。最早、化石のような存在です。
【2023年4月3日追記】
釣舟草通りで新たにイチイガシを1本発見しました。
谷沿いの斜面に生育しています。周囲にはアラカシ・ウラジロガシの若木はありますが、イチイガシの若木はありません。
「齊藤陽子 先史時代における有用樹種クヌギおよびイチイガシの遺伝構造」には、房総半島と東京都多摩・伊豆半島のイチイガシは、それより西の個体群とはハプロタイプが異なると記されています。東京都多摩は、おそらく多摩森林科学園を指しているのだと思います。
【2024年11月22日追記】
第2樹木園のイチイガシ。この個体も自生なのでしょうか?
イチイガシは東京都レッドデータブックには未掲載ですが、個体数はナラガシワよりも少ないと思います。