徳之島に行きました。徳之島では、板根が発達したオキナワウラジロガシを見ることができます。
【当部ビンジルガナシ】
山地に生えることが多いですが、当部では集落近くに生育しています。
谷沿いにオキナワウラジロガシの巨木が5本、若木が数本あり、斜面上部ではオキナワジイ(イタジイ)が優占していました。どんぐりは2~3年に一度結実するそうです(「奄美群島の残したいもの、伝えたいもの」より)。
当部ビンジルガナシは、200~400年前から当部集落の守神として、石を御神体として祀っています。後背の山は当部集落では神山と呼ばれており、草木の伐採が禁じられてきたためオキナワウラジロガシの巨木が残っているそうです。
当部のどんぐりは丸いようです。
【内陸部の山地】
世界自然遺産候補地のため、ガイド同行でないと立ち入ることができません。また、動植物の採集も禁止されています。
内陸部の山地には、オキナワウラジロガシ群集が残っています。オキナワウラジロガシは極相種で、琉球列島の森林はイタジイ・イジュ群集からオキナワウラジロガシ・イスノキ群集に遷移していくそうです。そのため、オキナワウラジロガシの優占林が残っていることは自然度が高いと考えて良いでしょう。
樹皮は灰褐色で、地衣類が着生して斑模様になります。また、イヌブナのようなイボ状の皮目があります。
単幹であることが多いですが、根元から3本の幹を伸ばした個体もありました。一度伐採された後に萌芽再生して、このような樹形になったのでしょう。
三京のオキナワウラジロガシの大木です。2011年に樹勢回復処置が施され、板根には補修跡が見られます。
幹が真っ直ぐに伸びるため、建築材として重宝されたそうです。
オキナワウラジロガシの葉です(許可された場所で採集)。
葉身17.5cm、葉柄2.2cmでした。葉は全縁または浅い鋸歯があり、裏は灰白色で枯葉になると白さがより目立ちます。奄美大島・徳之島にはウラジロガシも分布していて、オキナワウラジロガシと混同されているそうです。徳之島ではウラジロガシはオキナワウラジロガシよりも高標高に分布するらしく、今回はウラジロガシを見ることはありませんでした。
尚、徳之島の西阿木名では、オキナワウラジロガシとウラジロガシの交雑種が記録されているそうです。
今年はオキナワウラジロガシのどんぐりは不作のようで、1個の堅果と数個の殻斗を見ただけでした。「鹿児島環境学Ⅲ(南方新社)」によると、徳之島のオキナワウラジロガシは4年ごとに大豊作になるそうです。
そういえば先日、首里城再建でオキナワウラジロガシの材が使用されることが記事になっていました。
記事によると、国頭村と石垣市産のオキナワウラジロガシ計8本が候補に上がり、うち6本が使用されるそうです。今日では稀少なオキナワウラジロガシの大木が伐採されてしまうのは非常に残念なことです。