分類:バラ科サクラ属
和名:エドヒガン(江戸彼岸)
別名:ヒガンザクラ、アズマヒガン、アズマザクラ、ウバヒガン、ウバザクラ
学名:Cerasus spachiana
分布:本州、四国、九州、済州島
樹高:15~20m 直径:100cm 落葉高木
丘陵~山地に自生するが、自生地は限られる。自生環境は、地滑りや斜面崩壊が起こる急傾斜地の岩石地であることが多い。社寺などに植栽されることもある。
花は3~4月、葉の展開前に開花する。花は小形で、花弁は淡紅色~白色。萼筒が丸く膨れるのが特徴で、ヒョウタンザクラの異名をもつ。花期はソメイヨシノよりも一足早い。和名は江戸で栽培され、春の彼岸の頃に咲くことに由来する。
果実は核果で、5~6月に黒紫色に熟す。徒長枝の葉はヤナギのように細長い。
樹皮は暗灰褐色で、縦に浅い割れ目が入り、皮目が点在する。萌芽力が強く、株立ち個体もよく見られる。
長寿で大木になり樹高30m、幹径3mを超えることもある。山梨県の山高神代桜(樹齢2000年以上)、岐阜県の根尾谷淡墨桜(樹齢1500年以上)など、各地に名木がある。
【都道府県別保全状況】
・東京都:絶滅危惧Ⅱ類(VU)。2013年。
【栽培品種】
・シダレザクラ(イトザクラ)
枝の生長が早く下向きに垂れる栽培品種。枝垂れる性質以外は普通のエドヒガンと同じである。様々なクローンが存在し、花の色や大きさに変異が大きい。枝垂れ形質は実生にも遺伝するが、全ての子供が枝垂れるわけではない。シダレザクラは平安時代以前から存在し、栽培品種化した最も古い桜とされている。福島県の三春滝桜は樹齢1000年以上で、日本最古のシダレザクラとされる。
枝が垂れるのは肥大成長におけるジベレリン(植物ホルモンの一種)欠乏が原因とされ、ジベレリンを成長期の当年枝の頂芽に投与すると、枝は上方生長する。
花弁の紅色が濃いものをベニシダレと呼ぶ。
・ヤエベニシダレ
枝が下向きに垂れ、花色が濃く八重咲きになった栽培品種。
エドヒガンやシダレザクラよりも花期は遅く、ソメイヨシノが葉桜になりつつある頃に見頃になる。
ヤナギのように細長い葉と縦に割れ目の入る樹皮が特徴で、花期でなくても識別しやすいサクラである。全国に一本桜と称される巨樹があり、沢山の写真家が訪れる場所も多い。上から3枚目の写真は山梨県韮崎市の「わに塚の桜」で、樹齢約330年のエドヒガンである。樹形が美しく、八ヶ岳が背景に映ることから人気の一本桜である。写真は2017年4月12日に撮影したもので、この日はやや曇り空で薄暗くなってしまったため、画像を編集して投稿した。