分類:ホルトノキ科ホルトノキ属
和名:ホルトノキ
別名:モガシ、スグノキ、ハボソノキ、ヅクノキ、チジノキ
学名:Elaeocarpus sylvestris var. ellipticus
分布:本州(千葉県南部以西)、四国、九州、南西諸島、台湾、中国南部、インドシナ
樹高:10~20m 常緑高木
沿海地の照葉樹林に自生する。街路樹、公園樹、庭木としても植栽される。
葉はヤマモモに似るが、ヤマモモの成木の葉は通常全縁なのに対し、本種は必ず鋸歯がある。また、赤く紅葉した葉が一年を通して少数混じる。
花は7~8月。果実は核果でオリーブに似ており、11~2月に黒紫色に熟す。和名は「ポルトガルの木」の転訛で、本来はオリーブを指したが、平賀源内(1728~1780年)がオリーブと誤認した。オリーブはモクセイ科で本種とは別の仲間。
樹皮は灰褐色で、小さい皮目が見られる。樹皮と枝葉を煎じた汁は大島紬の黒褐色の染料となる。
大木では板根が発達することもある。
横広がりの樹形になる点もヤマモモに似る。関東では珍しく、名前がわからないため「ナンジャモンジャ」と呼ばれることもある。
神奈川県大磯町の高麗ホルトノキ(町指定天然記念物)。樹高18m、胸高直径1.2m、樹齢300年以上で、神奈川県内では希少なホルトノキの古木である。
【有名な生育地】
・千葉県いすみ市日月神社(市指定天然記念物)
・千葉県南房総市「宮本城跡のホルトノキ(市指定天然記念物)」
・神奈川県逗子市「神武寺のなんじゃもんじゃ(かながわの名木100選)」
・神奈川県横須賀市白山神社跡
・神奈川県横須賀市諏訪大神社
・神奈川県三浦市諏訪神社(かまくらと三浦半島の古木・名木50選)
・神奈川県大磯町「高麗ホルトノキ(町指定天然記念物)」
・静岡県熱海市下多賀神社(社叢全体が市指定天然記念物)
・静岡県伊東市比波預天神社(県指定天然記念物。日本最大のホルトノキ)
・静岡県河津町「東大寺のチーノキ」
千葉県清澄・高宕山系以南に分布する暖地性の樹種であり、伊豆半島の海沿いの照葉樹林で多く見られる。伊豆半島では「チーノキ」の地方名で呼ばれているようだ。三浦半島や伊豆半島では、野生化したタイワンリスによって樹皮を剥がされた個体も多い。千葉県いすみ市日月神社のホルトノキは、板根が発達していて迫力があるのでいつか見に行きたい。