2019年12月掲載

2021年12月31日改訂・再掲載

2025年1月4日改訂


伊豆市のイチイガシを見に行きました。

 

【大宮神社】

修善寺駅から東へ約4kmの場所にあります。社叢は市指定天然記念物。昭和59年、静岡県「ふるさとの自然百選」に「お宮の森」として選定されています。

大宮神社は、旧下大見村社として古くから周辺住民の崇敬を集め、古い棟札に弘安年間(1278年)のものがある当地方で最古の歴史を持つ神社です。神社の脇には西川が流れています。写真は2019年12月14日撮影で、現在は駐車場側の枝が切られています。

ここのイチイガシは全国的にも珍しい遺伝的系統で、太古から生育していることが最近の研究で明らかになったそうです (伊豆市観光協会中伊豆支部ホームページより)。

境内にはイチイガシ成木が3本(西側に2本、東側に1本)あります。

境内の樹木のうち、イチイガシにだけは注連縄が巻かれています。

境内西側の2本のイチイガシ成木の根元には多数の若木が育っています。将来はイチイガシの優占度が高くなりそうです。

境内はスダジイが優占種で、シラカシ・アラカシ・イチイガシ・ウラジロガシ・タブノキ・モチノキ・ヤブニッケイ・ヒイラギ・ヒサカキ・イヌマキなどが見られます。また、植栽と思われるマテバシイ・クスノキ・サカキ・キンモクセイ・スギ・ヒノキ・テーダマツ?もあります。

 

【日枝神社】

修禅寺の鬼門に当たり、弘法大師の建立といわれます。もとは修禅寺の山王社でしたが、明治初年(1868年)の神仏分離令により分離されました。

県指定天然記念物のイチイガシの巨樹です。根廻り5.5m、目通り4.5m、樹高25m、樹齢300年以上です。強風で葉が翻って、黄褐色の葉裏が見えて木全体が黄金色に見えます。

立派な注連縄が巻かれており、存在感があります。このイチイガシはおそらく神木として植栽されたものだと思います。

社務所の東側と境内東側の坂にもイチイガシがあります。

カゴノキの大木もあります。クスノキ科の常緑高木で、この木も関東から静岡県内に入ると個体数が増えます。樹皮が特徴的なので、成木であればすぐに識別できます。

境内はツブラジイが優占種で、シラカシ・アラカシ・イチイガシ・ウラジロガシ・アカガシ・コナラ・ホオノキ・カゴノキ・ヤブツバキ・イタヤカエデ・ヤマザクラ・モミなどが見られます。ツブラジイに次いで多いのはアカガシとモミです。植栽と思われるクスノキ・スギ・ヒノキもあります。

2019年12月14日訪問時には、参道入口のイロハモミジが見事に色づいていました。

2019年12月に拾ったイチイガシのどんぐり。左側2個が大宮神社、右側2個が日枝神社で採集したものです。

 

【函南町・長源寺】

ここにもイチイガシがあると知ったので寄ってみました。神社ではなく寺院にイチイガシがあるのは珍しいです。

イチイガシは成木が2本と若木が多数見られました。

植栽かと思いましたが、成木から離れた場所でも若木が多数見られたので自生の可能性も否定できません。境内はツブラジイが優占で、アラカシ・イチイガシ・クスノキ・カゴノキ・ヒメユズリハ・カヤなどが見られました。

 

【函南町・春日神社】

2015年1月に訪ねた時にイチイガシを発見し、2025年1月2日に約10年ぶりに訪ねました。

春日神社には県指定天然記念物のクスノキの巨樹があります。伊豆半島にはクスノキの巨樹が多いです。

イチイガシは、本殿付近の斜面に樹高15mくらいの個体が2本あります。境内には、アラカシ・イヌシデ・ケヤキ・クロガネモチなども見られます。

春日神社北東の林にもアラカシやコナラに混じってイチイガシの若木が2本ありました。社寺林以外でイチイガシが生育している珍しい例です。長源寺同様、川沿いに位置しているため、自生の可能性があります。

 

イチイガシは神奈川県西部から西に行くにつれて出現するイメージがあります。