青春18切符があるので、長野県内2ヶ所のシダレグリ自生地に行きました。

 

シダレグリはクリの変種で、福島県(郡山市・いわき市)、長野県(上田市・塩尻市・辰野町など)、岐阜県(下呂市)などに自生地があります。樹形が特異であることから信仰心との結びつきを生じ、社寺に植栽されている場所もあります。群馬・栃木県にも天然記念物のシダレグリがあるようですが、この2箇所は植栽起源でしょう。また、シダレグリの枝垂れ形質は実生にもよく引き継がれるようです。

 

1ヶ所目は、辰野町の「小野のシダレグリ自生地(国指定天然記念物)」です。ここに来るのは2015年10月以来2度目です。

シダレグリ自生地としては、小野が最も有名でしょう。

「弘法大師が栗の実をとりやすくするために枝を下げてくれた」、「栗が天狗の食糧で天狗が腰掛けたため枝垂れた」等の言い伝えがあるそうです。

明瞭に枝垂れる個体と、あまり枝垂れずに枝が横に伸びる個体があります。シダレグリ自生地の周辺にはヤマグリも多数生えています。

小野では800本以上のシダレグリが純林を形成しています。場所は、小野駅から東へ3.6kmほど行った所です。

 

小野のシダレグリ自生地から、チロルの森方面に伸びる道を通ります。

途中、野生のシカと遭遇しました!すぐに逃げてしまいましたが、山で野生のシカを見るのは初めてです!

 

2ヶ所目は、塩尻市の「相吉のシダレグリ自生地(市指定天然記念物)」です。ここは最近知ったばかりで、私は初めての訪問です。

小野よりも枝が垂れている個体が多かったです。枝には小さな果実もついています。

小野と同様に、急斜面に生えています。

この個体は、斜面下側の枝が伸びて見事なものでした。

相吉には約100本自生しているようです。小野の自生地とは直線距離にして600mほどしか離れておらず、古来は両者が一体をなしていたものと推測されています。相吉の自生地は、チロルの森から600mほど南西に向かった溜池の脇にあります。

 

今回は行きませんでしたが、小野駅から800mほど北にある小野神社・矢彦神社にはナラガシワがあります。本殿裏の立ち入り禁止区域には、幹径約1.5m、樹高約30mのナラガシワもありましたが、この個体は昨年9月の台風で倒壊したようです。2015年10月の訪問時には、他にナラガシワの成木が4本ほどありました。ナラガシワは長野県内でも稀少なようで、絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

 

小野駅~小野のシダレグリ自生地には、ミズナラやカシワも自生しているので、秋に来ればどんぐりが拾えるでしょう。