昨秋は高尾山や奥多摩でイヌブナが豊作でした。今年は実生が見られるに違いないと思い、新緑の高尾山へ行きました。

 

まず、お目当てのイヌブナです。奥多摩などではまだ葉が出始めかと思いますが、高尾山では既に葉が展開しています。

尚、ケーブルカー高尾山駅前のブナとイヌブナは、枝が大幅に切られていました。景観を良くするためかと思われますが、何れも貴重なものなので残念です。

 

イヌブナ・ブナの多い、2号路北側→4号路→いろはの森を歩き、山頂を目指します。

新緑の美人ブナ。4号路といろはの森が交差する辺りにある、高尾山で最も姿形が美しいとされるブナです。

 

そして、遂に発見しました!イヌブナの実生!これを見るのは2012年以来7年ぶりです!

子葉が大きく、その先から本葉が出ています。

このイヌブナ達は平成生まれ最後のものとなりました。

高尾山ではブナは子孫が全く育っていませんが、イヌブナは稚樹がそこそこ見られます。この個体は7年前の2012年に発芽したものでしょうか?しかし、沢山芽生えても、翌年には殆どが消滅するらしいです。

イヌブナの成木です。イヌブナは腐りやすいため、幹の寿命は短いですが、ひこばえを出すことによって株を存続させます。そのため、株そのものは寿命が非常に長く、1000年近く生きることもあるそうです。

 

ビジターセンターに書いてありましたが、高尾山では1995年、2000年、2005年、2011年にもイヌブナの開花が確認されたようです。5~7年周期で開花・結実するのでしょうか?

また、2018年の八王子市の暖かさの指数(植生と気温の相関関係を表す指標)は132℃で、ブナは本来45~85℃に分布するようです。やはり、現在の高尾山周辺はブナが根ざすには高温で、結実してもシイナであるのはこのためなのかもしれません。

 

帰りはいろはの森を下り、日影バス停へ下山しました。

奥多摩でもイヌブナが発芽しているかもしれません。また、青梅市の高水山のブナも見てみたいです。