12月になりましたが、どんぐりは種類によってはまだ拾えます。

今回拾ったのは、神奈川県相模原市横山公園のシリブカガシです。

 

シリブカガシは本州(近畿地方以西)~九州に分布し、北限は京都府保津峡とされています。尚、植栽逸出と思われるものが愛知・岐阜・三重県にもあるそうです。

関東は分布域外なので、希少です。東京では新宿御苑、小石川植物園、多摩森林科学園などに植栽されていますが、これらの場所はどんぐりの採集が禁止されています。そのため、横山公園は穴場です。

 

横山公園では、駐車場脇に3本のシリブカガシが植栽されています。

樹高10mくらいです。遠目にはアラカシに見えます。

近くで見ると、9月に咲いた雌花穂が上向きについているのでシリブカガシだとわかります。シリブカガシはこの雌花穂で存在に気づくことが多いです。

葉は堅くて厚く、光沢があり、裏は銀白色です。

どんぐりは表面に紫色の蝋状物質が付着しています。表面をこすると、光沢が出ます。

どんぐりは紫色で穂状につくので、葡萄のように見えます。

シリブカガシという名前の通り、どんぐりの底が凹んでいます。

9月に新宿御苑で撮影した花です。虫媒花で香りが強いですが、シイやクリほど臭くはありません。

 

自生のものは、大阪府堺市美多彌(みたみ)神社、高知県で私は見たことがあります。美多彌神社では土壌が浅く、岩盤が剥き出しになった所で、アラカシやツブラジイと混生していました。高知県では、アラカシ・ツブラジイの照葉樹林の中に点在していました。シリブカガシは常緑樹ですが、どちらかというと陽樹のようです。しかし、陽樹である割には生長は遅く、他の樹種との競争に勝てるのだろうかと思ってしまいます。

マテバシイ属の樹木は熱帯・亜熱帯地域に分布するものが多く、シリブカガシとマテバシイは最も北に分布するグループになるそうです。

 

横山公園にはレッドオーク、イングリッシュオークもあります。レッドオークは2本ありますが、結実率が良くないです。イングリッシュオークは4本ありましたが、枯死・伐採により現在は1本だけになってしまいました。