先月末に訪れた奥多摩ではイヌブナが豊作でしたが、高尾山でも今年は豊作らしいので行ってみました。
高尾山は新宿から電車で約1時間という距離でありながら、自然林が比較的良く残っています。744年に薬王院が開山され、寺法によってむやみに草木を切ることが厳しく戒められたこと、1578年に北条氏照が竹木伐採禁止の制札を下したこと、1889年に帝室御陵林、1950年に東京都立高尾陣馬自然公園となったことなどがその背景にあります。ミシュランで三ツ星評価されたことなどから、近年では外国人観光客も多いです。
お目当てのイヌブナです。高尾山では標高300~500mの地域に約800本生育しています。
ケーブルカー高尾山駅前にて撮影。確かに、沢山の実が成っています!ここ数年、毎年イヌブナの実を探しに高尾山に来ていますが、2016年に僅かに見つかった程度でした。しかし、今年は多くのイヌブナの根元に沢山の実が落ちていました。高尾山では2005年・2011年もイヌブナが豊作だったようなので、6~7年周期で豊作になるのでしょうか?来春は沢山の実生が見られるかもしれません。
2012年5月に撮影したイヌブナの実生です。前年が豊作だったため、この時は沢山の実生が見られました。子葉が大きいです。
1号路のブナ。高尾山は標高599mの小さな山ですが、約70本のブナが生育しています。これは、江戸時代中期(1700~1800年)頃の小氷河期の生き残りであるといわれています。しかし、いずれも樹齢200~300年の大木ばかりで、子孫は全く育っていません。そのため、既存のブナが寿命を迎えれば、高尾山ではブナが消滅します。
ブナ・イヌブナは1号路の高尾山駅辺りより上と、北側斜面にあたる4号路を中心に生育しています。南側斜面にあたる3号路にはカシ類が多いです。高尾山ではアカガシ・ウラジロガシが多く、シラカシ・アラカシ・ツクバネガシ・オオツクバネガシも見られます。山頂にはカシワ・コガシワもあります。
来年の5月に、イヌブナの実生と新緑のブナを撮影しに、また高尾山を訪れたいと思います。